金魚ちゃんの週末インプット★

読んだ本や漫画、観た映画の感想を書いたり作った料理の記録をしたりするブログ。

【映画感想】2020年7月11日 響け!ユーフォニアム~誓いのフィナーレ~

はいこんばんはRM307です。今週は「響け!ユーフォニアム~誓いのフィナーレ~」の感想。
京都アニメーション制作の、アニメ「響け!ユーフォニアム」の3期にあたる?劇場作品です。
今年TVシリーズを観返していたのは、完全新作であるこの映画の存在を知り、観たかった為。
「リズと青い鳥」の感想http://rm307.blog.jp/archives/81068418.html

【あらすじ】
久美子たちは二年生に進級し、北宇治高校の吹奏楽部にはたくさんの新入生が入部してきた。
久美子は三年生の加部とともに一年生の指導係に任命され、一筋縄ではいかない新入生たちや
秀一との関係に頭を悩ませながらも、今年も全国大会出場、そして優勝に向けて日々奮闘する。


まず始めに、僕はTVシリーズの続編が劇場版なのってあまり嬉しくないんです。というのも、
できればTVシリーズで長く、毎週1話ずつ楽しむ方が性に合っているので。劇場版で一気に、
というのはどうももったいない気がしてしまうし、あっという間に終わるのが寂しい・・・。
なので少しでも抵抗しようと、「リズと青い鳥」の時と同じように四日に分けて観ました。


開幕、いきなり久美子に告白する秀一で笑ったwふたりが付き合う事は、2期を観ていた時に
コメントのネタバレで知ったけど、結構突然だったんだな。久美子側にもうちょっと秀一への
愛情がある描写がされると思っていたんだけど。尺の都合か、原作では描かれているのかな。
久美子が秀一に贈ったキーホルダーをスマホにつけているのを見て、満足気に「よしよし」と
独りごちるシーンや、夏祭りで他の生徒から隠れて、楽しそうに手をつないで走るシーンは
良かった。ポニテも可愛い。僕がポニテ好きという事もあるけど、久美子はポニテが似合う!
部活の事も考え、この関係を保留にできるのは大人だなぁ。部活引退後はどうなるのだろう。
幼なじみが好きな僕としてはできればまた付き合う事になり、ずっと関係が続いて欲しいけど。

進級した部員たち。今年は自分たちが行う一年生への歓迎を込めた学校前の演奏のシーンでは、
一年前とは違う演奏のレベルに。夏紀先輩はギターを弾けるんだ、すごいなー!カッコ良い!
2期で三年生が引退する事になった時、抜けた穴が大きいなと思っていたのだけど、今作では
優子が部長としてものすごく頼りがいがあり、安心感があった。去年とはまるで別人だなー!
久美子もそうだけど、若干キャラデザも変わった気がする。どことなく幼さが抜けたような。
サンライズフェスティバルでの先頭に立つ様子も先輩らしく、もうすっかり好きなキャラだわ!
サンライズフェスティバルといえば、後ろで無表情で踊りの確認をするみぞれが可愛かったw

1月に観ていたから知っていはいたけど、「リズと青い鳥」の名前が出た時はやった!と喜んだ。
みぞれと希美の関係は「リズと青い鳥」で描かれていたから今作では描写が少なかったけど、
たまに映った時は嬉しかったな。大会後のバスの中で他の部員とトランプをしている時に、
外に居る希美が気になっておろそかになるみぞれとか、演奏中の呼吸のあった、相手への想いが
伝わってくるアイコンタクトなども良かったな。ふたりにはずっと仲良しで居て欲しい・・・。
自由曲「リズと青い鳥」について語り合うシーンで、映画ではリズと青い鳥の関係の比喩が
結構入り組んでいたけど、今作の久美子と麗奈の関係の比喩はストレートな印象だった。
まぁみぞれと希美がややこしすぎるんだよ・・・。好きだけどね。もちろん久美子と麗奈も。

僕は百合厨じゃないつもりだけど、久美子と麗奈の描写を観ていると、秀一じゃなくて麗奈で
良いじゃん!なんて思っちゃった。このふたりの話がちょっと少なかったのが残念だったな。
距離が近い事を指摘されたシーンは嬉しかったけど、もっと仲良さげな様子を観たかった!
麗奈といえば、水着での胸の谷間にどきどきしました。おっきい・・・。麗奈も好き・・・。
また山に登っている麗奈も面白かったな。そういえば滝先生と麗奈に関する描写も一瞬だった。
きっとこのへんは続編では描かれていると思うけど。観たいなぁ・・・できればTVシリーズで。
加部ちゃん先輩が滝先生と会う為に職員室に行っている?と邪推するシーンは良かったなw

加部ちゃん先輩も良いキャラだったな。ノートに丁寧に後輩の情報をまとめていて、奏者を
辞める事になってもマネージャーとして部員たちを助けてくれて。演奏できなくなった事を
どこかすんなり受け入れていたけど、やっぱり結構なプレッシャーがあったのだろうな・・・。
今思うと、去年全国大会出場に向けて練習も指導も厳しくなる中で、葵先輩以外退部した部員が
居なかったのはめちゃくちゃすごい。それだけでも努力する才能があるメンバーだったんだな。

そして加部ちゃん先輩から話があると言われた時、顎関節症である事を告げられた時の久美子の
表情も良かった。あすか先輩を想ってユーフォニアムを吹いている時の横顔もそうだったけど、
久美子ってこんなに美しかったっけ?!と思う事が多かったなぁ。優子だけじゃなく、久美子も
とても大人びて見えた。もう失言して慌てるような事は無くなりそうでちょっぴり寂しいかもw

まぁそんな久美子も後輩、特にには苦労して。何を期待しているかわかって先回りする奏、
計算高くて慇懃無礼な感じですごく嫌だったwそれでも、優子の事だって好きになれたんだし、
奏も観ていたら印象が変わるかも・・・と思って辛抱していたけど。まぁでも最後までちょっと
嫌な子だったなw中学時代の麗奈と同じく「悔しくて死にそう」と泣くところは良かったけど。
僕は夏紀先輩の事も好きだから、奏が意味ありげにちらちら夏紀先輩を見るシーンでは、いつも
はらはらしていた。奏の自分は何もかもわかっている、自分は間違っていないと言わんばかりの
態度も嫌だった訳だけど、夏紀先輩に教えを請われた後の「プライドが無いんですか」という
セリフを聴いて、「あ、やっぱり年相応の子どもなんだ」と思った。それならまだ攻略できる。

オーディション後の渡り廊下での対決?シーン。ここって「響け!ユーフォニアム2」11話で
あすか先輩と対峙した場所だよね?たぶん。向き合う奏と久美子の足元が映るシーンがあって、
奏は黒の、久美子は白のハイソックスだったのがその心象を表しているようで印象的だった。
逃げる奏の後を追い、走りながら叫ぶ久美子の演技も良かったな。良い青春の1ページだった。

奏は久美子に対し、「人畜無害って顔して人のココロにずかずか踏み込んでくる」と責める。
これ、僕もそうかも・・・と思った。もちろん僕は久美子のような良い子では無いんだけどね。
わざとやってる訳では無いんだけど、たぶん僕も結構相手に踏み込んじゃっていると思うので、
もしかしたら他の人にそう思われているかもしれないな、と・・・。申し訳無いです・・・。
でも相手の事を大切に思うからこそ、気になって首を突っ込んじゃうんです・・・というのは
言い訳ですか・・・?すみません。今後はできるだけ言葉を選ぶように気をつけます・・・。
そういえばサンライズフェスティバルで、奏が子どもの視線を気にしている描写があったけど、
あれはどういう意図があったのだろう?自分を無遠慮に覗かれたくないという事だったのかな。

夏紀先輩、コンクールメンバーに選ばれて良かったなぁ。無理だと思っていた。あと関西大会の
演奏前に、優子にありがとうと言われて赤面するところも良かった。このふたりの関係も好き。
全国大会へ進めなかった時、夏紀の前で崩れ落ちた優子の背中は一番涙腺にきた。でもその後
部員の前に姿を表した時は悲しみをおくびにも出さず、明るく振る舞っていてすごかったなぁ。
本当に頼れる部長だ。でも夏紀の前だけでは素直に感情を表す。とても良いなぁ・・・好き。

僕は去年も全国大会へ進めたのだから、きっと今年も進めるだろう、とどこか甘く考えていた。
それにしては尺が無いけど、それは次の劇場版で描かれるのかな?なんて。まさかダメ金とは。
映画冒頭の龍聖学園、何か引っかかるものがあったけど、これがフラグだったんだなぁ・・・。
北宇治同様、こちらも顧問の力で一気にレベルが上がったんだな。源ちゃん先生、何者・・・?
の父親みたいだけど。全国大会進出校が発表された際に、緑輝の目が若干求を向いていたのが
印象に残った。そういえば求は緑輝にかなり懐いていたけど、いつかくっつく事があるのかな?
緑輝といえば、あすか先輩から解説係を引き継いで赤い眼鏡をかけていたところが可愛かった。

かおり先輩晴香先輩、そしてあすか先輩が登場してくれたのも嬉しかったなぁ。大学生になり
めちゃくちゃ服装がおしゃれになっていて!やっぱり魅力的なカッコ良い先輩だなぁ・・・。
優子がかおり先輩を前にして、部長としての顔が剥がれたシーンが良かったw後輩の困惑もw
今の部員に遠慮してすぐに去っていったけど、もっと久美子との会話を聴きたかった・・・。
再登場した事で、何だか余計に先輩たちが卒業してしまった事、もう吹奏楽部には居ない事が
せつなくなってしまった。2期のラスト以上に。やっぱり大好きなキャラだったのだな・・・。
でも晴香先輩のセリフを取っちゃ駄目だよあすか先輩!w元部長の見せ場だったのにー!w

物語の最後、久美子は吹奏楽部の部長に就任している。適任!オーディションの際、滝先生が
指揮者に向いている的な事を言っていたけど、あれはまとめ役という意味もあったのかな。
一つ一つの楽器の音を聴いている指揮者もそうだけど、一人ひとりの部員を見ている部活の顧問
という役割もすごいよな・・・僕だったら絶対に見きれない。取りこぼしてしまうだろうな。
オーディションといえば、やり切った表情の久美子が良かったな。他の部員も、関西大会での
演奏後の誇らしげな顔がすごく良かった。だからやっぱり全国大会へ進んで欲しかった・・・!

三年生ではもっと良い結果が出て欲しい!そしていつかそこまでアニメ化されて欲しいなぁ。
もちろん京都アニメーションが大変な状況だという事はわかっている。それでも、いつの日か。
僕はものすごく気が長い方だと思うので、たとえ何年、何十年経っても待ち続けたいと思う。


以上、面白かったです!部活について、秀一との恋について、下級生との人間関係について、
加部ちゃん先輩について、将来についてなど、複数の軸が展開されるのがやっぱりすごいなぁ。
プロってすごい・・・。ストーリーに触れる事が多かったけど、作画クオリティもやっぱり
とても高くて、表情や瞳の美しさや揺れ動き、最後の演奏シーンなども素晴らしかったなぁ。
原作の面白さもさる事ながら、本当に京アニにしか作れない作品だと思う。それではまた。

Web拍手

【読書感想】2020年7月4日 丕緒の鳥

はいこんばんはRM307です。今週は読書回、今回は小野不由美作の短編集「丕緒の鳥」の感想。
十二国記シリーズの第8作目、これまでの王や麒麟では無く、官や民に焦点を当てた作品です。
読むのは2回目、七年前に読んで以来。ついこないだだと思っていたけど、内容を忘れていた。

【「丕緒の鳥」あらすじ】
慶国の射儀に用いる陶鵲を作る射長氏の祖賢、羅人の簫蘭、そして羅氏の丕緒。職務に真剣で、
王の為に、そして自分たちの為に良い陶鵲を思案し作り続けていたが、祖賢は冤罪で、簫蘭は
予王による悪政で失われた。陶鵲に民の姿を重ね、それが壊れる事で王にその現実を伝えようと
丕緒は工夫を重ねるが、王から賜った言葉で思いが届かないと悟り、陶鵲を作る意欲が消え、
思案も枯れ果てた。その後新たな王が践祚する。丕緒にはまた陶鵲を作るように指示された。

内容を忘れていたので楽しめた。しかし祖賢が、簫蘭も恐らく殺されたのは悲しかった・・・。
あんなにも一生懸命で、楽しい時間を過ごした仲間たちが・・・と。王が悪政を敷く、これまで
端的に語られていただけに留まっていたけど、実際に虐げられる人々の目線に立つとこんなにも
無慈悲でひどいものなのだ、とわかってつらかった。今までまったくわかっていなかったな。
だから最後、丕緒たちの思いが陽子に届いて本当に良かった。枯れたと思っていたアイディアが、
陽子の言葉をキッカケに次々と浮かんでくるラストも。深く追求せず、自然に描かれている。

この陶鵲という設定、とても細かくて面白いなぁ。その成り立ちから工夫されていった様子、
いろんなパターンの陶鵲のアイディア。この世に存在しないアイテムをここまで広げられるの、
ただただすごいな・・・。しかもそれを民の姿とリンクさせ、丕緒は民の為に、王にその思いを
伝える為に陶鵲を作り続ける。面白いなぁ。官吏なんて私服を肥やすだけ、と思いがちだけど、
丕緒たちは国政には関わらない下級官ではあるけれど、それなのにこれだけ民を思い、責任感を
持ち、その為に苦心する官吏も居る、人知れず戦っているんだとわかり、救われる気になる。
身分が低ければ伝わるけど、高い相手には伝わらない、そんな苦しみの中でも陶鵲を作り続けた
丕緒はすごいな。国を動かす事は無くても、これからも羅氏としての仕事を全うして欲しい。

あとこの作品で、予王以前の女王について知る事ができたのも良かった。ぜいたくに溺れた
薄王が17年、強大な権力に溺れた比王が23年。以前も書いたけど、そんなすぐに道を失う者に
天啓があるというのが不思議だなぁ。もっとマシな人はたくさん居ると思うんだけどな・・・。


【「落照の獄」あらすじ】
柳国では、狩獺という残忍な殺人者に対し民の怒りが爆発していた。民は殺刑を望んでいるが、
柳では殺刑を用いらない事になっており、また国が傾いている中で復活させると、乱用される
恐れがある。しかし殺刑を避ければ、民の心が司法から離れる・・・。司法の番人たちの苦悩。

瑛庚たちが何度も話し合いを重ね、時間をかけて検証している様子が良かったな。彼らもまた
本来は国の行く末を左右する立場で無い。でもここで死刑を復活させる事は、その後の国の
命運を握っている。だから慎重にならざるを得なかったし、どうしても死刑は避けたかった。
国や民の事を考える彼らの思いに多少なりとも胸を打たれたし、思いが報われて欲しかった。
しかし結局は、狩獺に敗北する。勝負では無いし、正確には負けた訳では無いのだけれど、
すべての人を教化する事はできないという現実を動かす事ができなかった。でも仕方が無いよ。
そういう人はどこにだって存在してしまうのだ。どうか自分たちを責めないで欲しいと思う。
これから柳はどんどん傾いていくのだろう。他作品でそう触れられていたけど、こちらも実際に
傾く、乱れるというのはこういう事だとようやくわかったような気がする。そして命の重みも。
ラストの、何かの予兆のように鉄格子の影が堂内を切り刻んでいたのは良い描写だな・・・。

狩獺は今で言うとサイコパスなのかもしれない。命を命と思わず、強盗をし住人に拷問をする、
一家を惨殺しその家に住み、死体は沢に渡し橋として使う、必要も無かったのに子どもを殺す。
残忍とは書いたけど、罪の意識が存在しない。自分が死刑になっても構わないと思っている。
ラストの狩獺の高笑いがつらかった。たくさんの罪の無い命を奪った人間が、勝者などであって
欲しくは無いのに。願わくば、処刑の際に狩獺が死を恐れますように。それならまだ救われる。

清花淵雅のような人間も本当に厄介だ。清花は今で言うとTwitterで炎上させ騒く人かな。
たとえば最近の、ラブドールの規制を求める過激派の論法に酷似しているように感じる。清花も
瑛庚の言葉に聞く耳を持たず、理に対し情の話をしている。いっしょにしては駄目なのだ。
まぁでもそれは、僕が瑛庚の考えを知れる読者の立場だからそう思うだけなのかなぁ・・・。
僕も清花みたいに考えてしまう気持ちがわからないでもないもの・・・気をつけたいところだ。
こちらも、前妻の事を含め瑛庚は自分を責めなくて良いと思う。わかり合えない人も居るのだ。

淵雅は理想論を振り回し、それが己の理想ならまだ納得できる部分もあるけど、ただの借り物、
父の威を借る狐でしか無い。淵雅の人物評もすごく細かくリアルで、こういう人間を描けるの
すごいな・・・!と感嘆した。現実にモデルになるような人物が居るのだろうか?政治家とか?
淵雅はこれから確実に障害になる。賢帝と言われるような劉王も、息子には甘いのかな・・・。

以前も書いたかもしれないけど、劉王に何があったんだろうな。黥面の仕組みとかも面白く、
上手く機能していて、柳に凶悪犯罪が少ない事、死刑に罪を止める効力が無い事にも説得力が
あったのだけど、狩獺の処遇を司法に丸投げして、自ら破綻している政策を施行したりして。
雁国の為もあるけど、柳国が何とか持ち直してくれたら良いな・・・。もう遅いかもだけど。
十二国記シリーズでは初めてと言っても良い、救いの無いバッドエンドだった。面白いけどね。

あと、仙籍に入った妻が離縁した場合、仙籍に入っていた間の分下界は時間が進んでいるので、
両親や兄弟や友人はすでに死に、知り合いが誰も居ない状態で寄る辺無く、どこにも居場所が
無い孤独というのは考えていなかったな。国官になれば自分も家族も仙籍に入ると当たり前の事
のように考えていたけど、単純には考えられない、重い決断が必要な事だったのだな・・・。
青条の蘭」でも、兄弟縁者の昇仙は許されない、どこかで線引きしないといけないとあった。
そうか、昇仙すれば、親や兄弟や友人たちをすべて看取らないといけないのだな。つらいな。


【「青条の蘭」あらすじ】
野木に生ずる新しい草木や鳥獣を集める任の官吏の標仲、山野の保全をつかさどる包荒は、
故郷の山で一本の変色した山毛欅を見つける。その枝はまるで石のように姿を変えていた。
年を経るごとにその奇病は広がっていく。このままでは山毛欅が倒れ、山毛欅が養っていた
野生動物たちが民の生活を脅かし、その根が抑えていた山肌が崩れ、盧や里を襲ってしまう。
標仲と包荒、そして猟木師の興慶は、何年もかけて奇病を止める薬になるものを探し続けた。
やっと「青条」と名づける蘭が薬になる事がわかったが、国府に奏上しても、一向に音沙汰が
無い。標仲は私財を投げ売り高官に便宜を図ってもらおうとしたが、あえなく裏切られる。
早くしなければ雪解けに間に合わない、標仲は直接王宮を目指す。その苦難の道のりの物語。

ラストの展開だけを覚えていた。こちらも、民を救う為に必死になって薬を探す標仲たちが
すごく良かった。ただの奇病ならいざしらず、自然の理の外の謎の病だから大変だ・・・。
どれが薬になるか、あらゆるものを試すのってまさに雲をつかむような話で、不眠不休で何年も
探し続けたその苦労を思うと頭が下がる。見つけてからも、どうすれば効くのか、栽培方法や
保存方法は・・・と考えるとはてしなく遠い道のりだ。みんなの努力が報われて良かったな。
その期間で、たくさんの身内が奇病の影響で亡くなったのはつらかったけど。「丕緒の鳥」も
そうだけど、みんな大切なものを失っている。物語に救いはあるけど、命はもう戻ってこない。

報われた、と書いたけど、金に目がくらんだ頼みの高官に裏切られ、興慶は国を追われる事を
余儀なくされる。黄朱の仲間と袂を分かち、その上犯罪者扱いされるなんて悲しすぎる・・・。
あんなに頑張ってくれたのに・・・。どうか彼も幸せになって欲しいと思う。でも戸籍が無いと
どこへ行ってもつらいだろうな。仲間の元へももう戻れない。彼のその後が気になるよ・・・。

山毛欅(ブナ)の設定が面白かったな。自然の中のその一つが壊れたらどう影響があるのか。
また地官遂人と果丞の設定の建前と実情の設定も。ファンタジーの世界でも世知辛いな・・・。
国が傾いているから余計にひどいのかな。今の雁国ならきっともっとクリーンなんだろうけど。
新王が践祚しても、現在の地位にしがみつこうとする者、この機に乗じて他者を蹴落とす者、
官位を失う前に私財をかき集めようとする者など、国情が以前よりもひどくなるとは・・・。

もちろん中には良い官吏も居る。「東の海神 西の滄海」に登場するメンバーなどがそれだ。
最後に「新王によって任じられた新しい地官遂人」という記述では「帷湍だ」と嬉しくなる。
読者はこれでもう安心だ、と胸をなで下ろし、ここで「これは五百年前の雁の話だったのか!」
とわかって面白さが増すんだよね。ここまでずっと伏せられていたから、カタルシスがすごい。

でも国府がきちんと機能していれば、王宮から騎獣を使って青条を受け取りにきてもらえたし、
興慶も王宮を目指した標仲もここまで苦しい思いをしなくて良かったのにな・・・と残念だ。
青条が帷湍を知る民の手に渡らなければ、標仲が考えたように彼の身分では謁見を許されず、
またどこかで握りつぶされていたかもしれない。最後の民へのリレーは本当に奇跡だったな。
標仲が脚を動かせなくなり、「もう無理だよ」と言われて泣くシーンはせつなくてぐっときた。

誰にも事の重大性を理解してもらえない・・・。それでも、そんな中で最後に標仲の意志を
継いでくれたのが民だった。標仲の事情も荷が何かも知らない、それでも国の為という言葉を
受けて、それまで国が何をしてくれた訳でも無いのに、力の限り走り続けてくれた。すごいな。
彼、彼女らもまた荒廃でたくさんのものを失っていたのに、それでも前を向いて生きていて、
託された思いをつなげてくれた。みな名も無き民だけど、その一人ひとりが居てこそ、国は
成り立っているのだな。標仲の言うように、すべての人が救われる日が早くきていますように。


【「風信」あらすじ】
予王の悪政により、慶に暮らす女性は国を追われた。家族や友人を失った蓮花もまた、旅の末に
慶を出ようとしていたが、その折に王が斃れた事を知る。身寄りも無く、虚しさで空っぽに
なってしまった蓮花は進むのも戻るのもやめ、その場に留まる事に決める。親切な大人たちが
保章氏の住む園林での働き口を見つけてくれ、蓮花はそこで奇妙な人々の世話をする事になった。

この作品は内容を完全に失念していた。予王が慶から女性を追放した事は何度も語られていた
けど、こうして空行師に射られ、逃がそうとした家族まで殺された上に、女性を燻り出す為に
街に火を点けるなんてひどい事までやっていたとは・・・と実際の非道を知りつらくなった。
州師はそこまでする必要なんて、そんな命令に従う必要なんてどこにも無いはずなのに・・・。

でも一番好きな話。深く傷ついた蓮花が、支僑たちとの暮らしの中で癒えていくのが嬉しい。
変わった人ばかりだけど、その奇妙さが心地良く、親しみを感じられる。それだけじゃなく、
みんな蓮花が下働きだと雑に扱わず、相手を尊重して丁寧に接しているのもとても良いなぁ。
この暮らしがずっと続いていくと良いな・・・蓮花が候風や保章氏になって欲しいなとも思う。
それかいつか、自分の夢を得て外の世界に飛ぶ立つ日がくるのかもしれない。それもまた良い。
彼女のその後の物語をぜひ読みたいけど、無理かなぁ。いつか本編で登場したりしないかなぁ。

暦を作る仕事の設定も面白い。それもただの暦じゃなくて、風土を様々な角度から検証した、
その場所に合った、農作物の出来を左右する大事なもの。農民の失敗で民が飢える事になる、
なのでとても大切な仕事なのだとわかるのが良い。なるほどな。嘉慶の「戦うことが道なら、
日々を支えるのもまた道」という言葉も良かった。僕にも戦う事はできない。新都社においても
そうで、直接新都社の役に立つシステムを作ったり、住人を呼び込んだりする事はできない。
でも、何かの支えになれたら良いなと思う。その為に、ささやかでも活動していきたいと思う。

ラストも忘れていていたので、希望のある美しいシーンで本当に良かった。候風は新しい王が
立った事もわかるんだ!日々の何気ない日常の観察が結びついているのが何だか無性に嬉しい。
優しい支僑の言葉に救われる。蓮花もココロを抑えず、失った家族を想い泣けて良かったなぁ。


以上、新鮮に楽しめて良かったです。さて一年近くかけて読み返してきた十二国記シリーズ、
来月からはいよいよ新作を読み始める予定です。どんな話なるのか緊張するな!それではまた。

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【料理感想】2020年6月27日 ミルクスープ

はいこんばんはRM307です。この一ヶ月で作ったものもホットケーキとチャーハンぐらいだな。
あとオクラの価格が一袋198円(税抜)になったので、またオクラのみそ汁を作り始めました。
やっぱりすごく美味しいー!たまねぎのみそ汁に飽きていたのでしばらくはずっと作り続ける!
それと前回のチーズケーキは、母も美味しかったと言ってもらえました。良かった良かった。

さて今月の料理回、また牛乳を消費する料理を作ろうと思い、ミルクスープを作りました。
検索して見つけたレシピをいくつか読んで、たまねぎを入れたものに変更して作りました。

【材料】
・たまねぎ 小1個
・水 150ml
・牛乳 200ml
・コンソメキューブ 1個
・塩 少々
・塩こしょう お好み

【作り方】
1.薄切りにしたたまねぎと水を入れて煮込み、沸騰したらコンソメキューブを入れる
2.適当な時間煮込んだら、牛乳を入れて少し煮込む
3.適当に塩を入れる、塩こしょうも適当にする

スゲェ簡単ですが。台所の時計の電池が切れて止まっているので、時間はぜんぶ適当です。

20200627_ミルクスープ
完成したものはこちら。味は・・・うん、まったりした良い味!初めて飲んだけど美味しいな!
やっぱりコンソメを入れておけば適当でもそれっぽいものができるんだな。すごいなコンソメ。
母にも好評でした。ミルクスープは母も作った事が無く、野菜を入れた牛乳って大丈夫かな?
どんな味になるのだろう?と心配していたのだけど、安心しました。良かった。それではまた。

Web拍手

【漫画感想】2020年6月20日 おもちゃとお茶を

はいこんばんはRM307です。漫画回の今週は、井上きぬ先生の「おもちゃとお茶を」の感想。
ハルタという雑誌の72~74号に掲載された一話完結の短編作品です。漫画雑誌を買うのは
去年のハルタオルタ以来で、読み切りじゃない連載誌となると中学生以来だから十数年ぶり。
商業作品を読むのが好きじゃなくてほとんどの連載作品を読まない事になるので、正直雑誌は
買いたくなかったのだけど、やっぱり大好きな作者さんは応援したいしな・・・と思ったので。
3ヶ月に分けて書こうかとも思ったんだけど、文量が少なかったので一記事にまとめました。

【1.幸運の手紙 あらすじ】
寮監のアニーと暮らす人形のレネットは、意思を持ち自由に身体を動かせる。今日も窓から
外を眺めていると、何やら生徒たちが楽しそうに手紙をやりとりしている。笑っているのは
きっと万年筆を持っているからだわ、私もこのペンが欲しい!でもレネットにアニーは言う。
それはペンでは無く、周りの人間に手紙を回せば願い事が叶うと書かれた手紙の影響なのだと。
生徒からの相談も受け困っていたアニーは、万年筆を欲しがるレネットに一つの頼み事をする。

様々なレネットの表情が可愛く、ため息をつく表情から物憂げな表情、とびきりの笑顔まで
ほぼ全コマ魅力的だった。フリルのついたドレスも可愛い(描くのがめんどくさそう・・・)。
最初は頭を悩ませていて沈んだ表情が多いアニーも、彼女を気遣って自分も気落ちするレネット
(素直で可愛いな)を見て以降の、特にレネットから願い事を問われた時の表情、その目元や、
最後の2コマの表情などがとても良かったな。こんなに美人だったんだ。まゆ毛の描き方も好き。

自分が手紙を書いたから生徒たちが笑っている、そう思って喜ぶレネットも可愛かったなぁ。
恐らく普段はこの部屋から出る事ができない存在だから、いつも見ているだけしかできない
アニーの可愛がっている(たぶん)生徒たちを喜ばせる事ができた、というのも嬉しいのかな。
最後に万年筆をもらえるのも良い。そして「不幸になりませんように」というアニーの願い。
それを私が叶えなきゃ、と言ってくれる小さな小さな存在が何より嬉しく、愛おしく感じる。
これからもふたりがずっと仲良くいっしょで、ささやかでも幸せに暮らして欲しいなと思う。

【2.朝の支度 あらすじ】
毎朝アニーを起こすのはレネットの役目。うつらうつらしているアニーの髪をまとめようと
していると、体勢を崩したアニーに潰され腕の関節のゴムが切れてしまった。これでは髪を
まとめられない、私がいないとできないもの・・・と言うレネットに、練習していたアニーは
一人でまとめて見せる。レネットは「これでもう私がやらなくていいのね」とつぶやいた。

腕が取れたレネットがめっちゃ騒いでいるけど、他の人に声が聞かれないかなと心配になったw
僕は女性のまとめている髪型が好きだけど、アニーは下ろした状態の方が可愛く見えるかも。
大手術を想像して青くなったり、足を上げたら転んでしまったりしたレネットも可愛かったw
そうか、レネットはアニーが小さい頃からいっしょに居るのだなぁ・・・こういうの好きです。
ずっとその成長を見守ってきたんだ。大人になっても人形を大切にしているというのも良い。
ラストのレネットも可愛かった。これからもずっとアニーの髪をまとめてあげて欲しいなぁ。

あと465ページのように、僕だったら1、2コマ目をまとめちゃうんだけど(めんどくさいから)、
分けて描かれているのも好き。他の話や作品でもそうなんだけど、この間が萌えるんだよね!

【3.ティーカップ あらすじ】
レネットが窓の外の大声に目をやると、アニーと相手の女性がつかみ合いのケンカをしていた。
動揺したレネットが思わず後ずさると、アニーが使っていたティーカップを割ってしまった。
謝るレネットにアニーは「いいのよ」と制する。ケンカの相手はこのカップを贈ってくれた
相手だったから。カップの破片を胸に「親友だったのに」と悲しそうなレネットを意に介さず、
アニーは「ゴミだから」と捨ててしまう。諦められないレネットはカップを修復しようとする。

大人になってつかみ合い手が出るほどのケンカをするってなかなかだな。何があったのだろう。
殴ったアニーの手を見てレネットが驚くコマ、話はまじめなんだけど笑ってしまったw可愛いw
「大事に思ってるもん」の表情もぷんすかしているところも可愛い。ポットを抱えて机の上に
登れず右往左往しているコマもめっちゃ可愛いwww思い出を再現している様子も愛らしく、
その次のアニーの指で口を塞がれたコマも可愛い。そして前後するけど、ごみ箱から破片を
拾って「よかった」とつぶやくコマ、顔も身体もごみまみれだけど、とても美しいと感じた。

アニーは、778ページのレネットの言葉に不意をつかれた表情が良かった。目のアップも良い。
しかし誰でもすぐに寮監を呼び出せる窓口が備えつけてあるのに、堂々とレネットと話していて
大丈夫なのかなwバレないかひやひやするよ。あと1からこの部屋を訪れる生徒や先生、そして
アニー自身の表情を見ていると、寮監業務が大変な事が伝わる。アニーが浮かない顔をする事が
多いのは、それもあるのかな・・・。大人にはいろいろあるよね。冒頭のケンカだってそうだ。

思い出は永遠だと言うレネット、つらいから昔の事はぜんぶ忘れたいと言うアニー。僕の場合は
他人の思い出に関してはレネットに、自分の思い出に関してはアニーにすごく同意してしまう。

これは「新都社百合企画2020」の漫画を投稿してから新ブログの方に書こうと思っていた話。
僕は昔楽しませてもらっていた作品だったり、仲良くしていた相手だったりしても、それらを
今現在嫌いになったりしたら、過去を全否定したい。その記憶を無くしてしまっても構わない。
たしかにその時はココロを動かされた、幸せだったかもしれないけど、それはもう過去の話、
今となってはもはやどうでも良い、そんなものに時間を使っていた事を後悔してしまう・・・。
僕はこう見えてわりと好きになるものは慎重に選んでいるので、たとえば過去に描いたFAでも、
のちにその作者さんが嫌いになって描いた事を後悔しているケースは88人中2人しか居ない。
今後もしその数が増えたりしたら、その都度FAに使った時間をもったいなかったと思うだろう。
(ちなみに本や漫画をあまり買わないのも、後で「無駄な出費だった」と後悔したくないから)
先日とある作者さんは、「大事に持っていれば良いと思う」と仰っていたけど、僕には難しい。
レネットのように大切に持ち続けようとは思えない。アニーのようにごみは捨ててしまいたい。

冷たい人間ですみません。これってやっぱり悲しい事だよね。他人から見たら特にそうだろう。
なので前述のように、他人が捨てようとしている思い出に関してはレネットに同意できる。
自分にとっても大切な思い出、すでに自分の一部のようになっているものならなおさらそうだ。
ふと思ったけど、これは作品が削除される事と同じだな。作品が読めなくなる事だけじゃなく、
もうその作品は読者の一部にもなっている。だから削除は読者を傷つける行為でもあるのだ。

忘れたいとこぼすアニーに、「代わりに私が覚えてるから」と言ってくれるレネットは優しい。
僕はてっきり「思い出を忘れないで」や「仲直りしなきゃ」と諭すと思っていたのだけど、
そうじゃないんだね。相手との関係が変わってしまうのは仕方が無い。もう戻らないのかも
しれない。それでも代わりに大切にしてくれる存在が居るなら、救われるのかもしれないな。
もちろん、できればアニーには昔のように相手とまた仲良くして欲しい、と願ってしまうけど。
ふたりに何があったのだろうなぁ・・・いつかそのエピソードを読める機会があったら良いな。
いつか彼女が、「やっぱり捨てなくて良かった」と思える日がきたら、僕もとても嬉しいなぁ。

最後はふたりがにこやかなエピソードを読めたら良いなと思っていたけど、このエピソードも
好きです。いつかまたアニーとレネットのお話を読めたら良いなぁ。読み切り作品だと最初から
諦めもつくのだけど、短期でも連載だともっともっとふたりの話を知りたい!と思っちゃうな。
どうか彼女たちがいつまでも幸せでありますように。アニーとレネットに逢えて良かったです。

20200620_おもちゃとお茶を

以上。他には「ヒナまつり」と「ハクメイとミコチ」も読んだ。「ヒナまつり」はアニメより
かなり話が進んでいて、みんな成長していたし、ギャグはあるけどバンド漫画?になっていたw
ライブを成功させたら未来が変わる・・・?!気になるのでアニメ2期をお待ちしております。
あと井上きぬ先生の短編集を出してください。以前描かれた作品も読みたい。それではまた。

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【映画感想】2020年6月13日 若おかみは小学生!

はいこんばんはRM307です。映画回の今週はマッドハウス制作の「若おかみは小学生!」の感想。
2のひと先生など好きな作者さんからの評判が良かったので、以前から観たいと思っていた。
内容をほとんど忘れてしまったけど、TVシリーズは観た事がある。わりと面白かった記憶が。

【あらすじ】
小学生のおっこは、自動車事故で両親を亡くした。おっこ自身は奇跡的に無傷で助かったが、
ココロに深い傷を負う。その後小さな古い旅館を営む祖母峰子の元で暮らす事になったのだが、
そこには彼女にしか視えない子どもの幽霊、ウリ坊も棲み着いていた。彼は事故からおっこを
救った命の恩人であり、かつて子ども時代の峰子の命を救った恩人でもあった。彼はおっこに、
峰子が営むこの春の屋旅館を手伝って欲しいと願う。若おかみとなったおっこの奮闘が始まる。


テレビ版が(たしか)全編通して明るかった分、劇場版は観る側も痛みを伴うものだったな。
テレビ版には無かったPTSDの発作描写や、家族がいっしょだった時の幸せな回想が悲しかった。
ヒナまつり」でもそうだったんだけど、正直やっぱり子どもがつらい目に遭っている描写は
苦手だなぁ・・・。そんな事を言ったら創作物に触れられなくなるじゃない、と言われたら
そうなんだけど、それでも子どもの幸せが奪われて欲しくないんだよ。それが創作であれ。
でも、たとえば「天空の城ラピュタ」のパズーが大変な思いをしているのは平気なんだよね。
何が違うんだろう。ファンタジーと現代劇の違い、後者をより身近に感じるからなのだろうか。
あるいは何かを得る為に身を削っているのと、一方的に自分をすり減らさないといけない違い?
終盤の失った両親を想って泣いているシーンとか、ただただ苦しい喪失でしか無いもの・・・。
両親はもう居ない、その上いつも近くで励ましてくれていたウリ坊たち幽霊も居(視え)ない。
柱にすがりついて泣くおっこは本当に可哀そうだった・・・。ここが一番悲しいシーンだった。

おっこは両親を亡くしてわりとすぐに旅館で働き始めていたけど、それで良かったのかなぁ。
忙しくしていた方が悲しみも薄れる、という考えはもちろんあると思うけど、事故によって
かなりの見えない負担がかかっていた訳で、それを峰子や周りの人は気づいていたのだろうか。
まぁ結果的におっこは成長し、過去を乗り越える事ができたんだけど、フラッシュバックは
これからもふとしたきっかけで起きるかもしれないし、一度病院を受診した方が良い気がする。
しかしこのへんに良い病院はあるのだろうか・・・?車でショッピングモールで遊びに行った
シーンがあったけど、通院に時間がかかりそうだな。旅館業をやりながらでは難しいかも。
峰子さんもなかなか休めないだろうし、休んだら休んだでおっこも気を遣うだろうし・・・。
そう考えると、おっこの性格だとPTSDを隠しちゃう気がするんだよな・・・難しいな・・・。

そもそも、以前からずっと言いたかったんだけど、春の屋の従業員が少なすぎるよ!三人て!
それでお客さん一人ひとりにあれだけ細やかな心遣いをしていたら、絶対に回らないどころか
従業員に大きな負担を強いる事になるよ・・・実際に現状おっこが駆け回っている状態だし。
これからもこの体制で続けていくつもりなのだろうか。もっと従業員の数を増やして欲しい。
と言ってもなかなか人が集まらないのはわかる。でも、だからといって従業員が苦労するのを
見るのは忍びないので、今後はたくさんの宿泊客を受け入れないようにした方が良いと思う。
峰子さんはお客さんを断るなんて!と思うかもしれないけど、もうその決断が必要な時だよ。
その結果、もし春の屋が立ち行かなくなったら畳もう?どうせ近くに大きな旅館があるんだし、
おっこが苦労するよりその方がずっと良いよ。春の屋じゃないといけない理由があったっけ?
峰子さんももう引退して良いんじゃないかな。そしておっこと病院へ行き受診させてあげよう。
・・・なんて事を言っていると、作品のファンの方にぶっ殺されそうな気もしますが・・・。
でも僕は峰子さんや春の屋より、おっこのココロの傷を癒やす方が大事だと思うので・・・。
まぁその癒やす役割が春の屋にあるのだとしたら、これからも続いていけば良いかなとは思う。

前述の通りおっこが可哀そうでつらかったけど、過去の経験から立ち直れて本当に良かった。
おっこ、良い子すぎるよね・・・。礼儀正しく、受け答えもしっかりしているし、頭も回る。
何よりお客さんにまっすぐ向き合って、真剣に考えて、大切にしている姿勢が尊敬できる。
僕は接客業(というかクレーマー)が大嫌いだから、おっこのようにはなれないな・・・。
おっこなら何をしても、立派な大人になれると思う。これからはずっと幸せでありますように。

あと、グローリー・水嶺さんがすごく良い人でびっくりした。テレビ版ではこんな役回りでは
無かったよね?買い物で、いろんな服に着替えるシーンも好き。ここはおっこも可愛かった。
服装だけじゃなく、料理の作画も良かったな。とても美味しそうだった。僕もプリン食べたい。
他には磨かれた床やガラスに映り込む身体、眼鏡をかけた時にレンズにズレて映る目など、
劇場版はすごいな・・・と思う作画も印象的だった。アニメーションってやっぱり良いですね。


以上、キャラが好きなので、またテレビ版を観返したくなりました。まぁテレビ版はテレビ版で
慣れない仕事に四苦八苦したり叱られたり、問題のあるお客さんの相手をするおっこを観るのが
ちょっとつらいのだけど。よわよわな視聴者ですみません。でも2期は観たい!それではまた。

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【読書感想】2020年6月6日 華胥の幽夢

はいこんばんはRM307です。読書回の今週は小野不由美作「華胥の幽夢」の感想。短編集で、
十二国記シリーズの第7作目。通して読むのは十代の頃以来で、こちらもたぶん2、3回目。

華胥の幽夢 十二国記 (講談社X文庫)
小野 不由美
講談社
2001-09-05


【「冬栄」あらすじ】
厳しい冬を迎えている戴国。泰王驍宗は宰補泰麒に「暖かいところに行ってみたくはないか?」
と尋ねる。泰麒は蓬莱からこちらの世界へ帰ってきた折に助けてくれた、漣国の廉麟へお礼の
使節として、南の国の漣へ旅立つ事になった。街を越えるごとに暖かくなっていき、戴の春や
秋のような気候の漣に到着した泰麒は、戴もこうだと良いのに、と思わずにはいられなかった。

阿選」という名前を目にするだけで腹が立ってしまい笑、護衛が居るから漣の街を歩いても
大丈夫だろうという判断にも「泰麒が危険な目に遭った方が良いからそう言うんだろうな」と
むかむかしながら読んでいたのだけど、気安い廉王と楽しそうな泰麒が可愛くてほっこりした。
泰麒と軽口を叩く正頼のやりとりも良かったな。正頼には胡散臭いイメージがあったのだけど、
今回読み返したらそうでも無い、というか良い人だった。どうしてそう思っていたのだろう?
「正頼、つまらないの?」
「もちろんですとも。腕白小僧の首根っこを捕まえて、がみがみ言うのが私のお役目なんですから。たまには大変な悪戯をしでかして、尊いお尻をぶたせてくれなくちゃ、じいやには楽しみがありません」
(中略)
「心掛けておくね」
「よろしくお願いしますよ」
「潭翠には内緒ですけど、私は一度、潭翠が血相を変えたところを見てみたいと、常々思っていたんです」
「潭翠がかんかんになるような悪戯をするんだね」
「頑張ってくださいまし。そうしたらじいやが、戻りしだい、園林の木に吊るして差しあげますから」
このへんの会話が好き。のちに自由すぎる廉王世卓、廉麟の振る舞いによって、途方に暮れる
潭翠の様子を見られて喜ぶというw戴と漣は地理、気候だけじゃなく、本当に間逆な国だなぁ。

農夫の世卓は自分は王として大した事をしていない、勝手に伸びていく国を助けているだけ、
と言っていたけど、政治の事がわからず周りに任せる事が多くても天命を失っていないのは、
その働きが大事で、多くの中から必要な事がちゃんとわかっている、正しい判断ができている、
という事なのかな。それとも世卓の言う通り、本当に農夫としての彼を必要としていたのか。
そう割り切って考える事ができたら良いだろうなぁ。僕は絶対に疑っちゃうと思うから・・・。
泰麒もきっと同じで、でも世卓の言葉によって救われていた。とても良い出逢いだったのだな。

自分は周りにとって邪魔で迷惑をかけている存在なのでは無いか、と思い悩んでしまう泰麒。
良かれと思ってした事がかえって家族を落胆させる結果になる、というのもちょっとわかるな。
しかも泰麒はまだやっと11歳!作中にもあったけど、大人に囲まれているだけで緊張するよね。
驍宗や周りの官吏たちで、もう少し泰麒の目線に立ってを思いやれる人が居たらなぁ・・・。
それか泰果が流されていなければ・・・などと「もし」を考える事が多い。本当に泰麒、戴国は
その気候から何から苦境に立たされてばかりだ。ことさら戴には救いが無いような気がする。
苦しい戴の民を思って胸を痛める泰麒もいじらしかった。こんなに思い悩んでしまう泰麒が
六年も国を離れて、そしてそれに気づいた時はどれほど悔やんだだろう・・・と思うと・・・。

ラスト、驍宗の正寝のすぐ隣に住めるようになり、また移動用の子馬も与えられて喜ぶ泰麒。
この幸せがいつまでも続いて欲しかった・・・その後を知っている読者全員せつないよ・・・。

泰麒と驍宗と気心の知れた臣下たち。冬が終わり、希望にあふれた未来が待っているのだ・・・
というところで阿選が裏切り、彼らの幸せは終わりを告げる。楽しく笑っていた臣下たちも、
ほとんどが殺されてしまう。この短編ではこうしてみな元気に笑っているけれど、もう失われて
しまったのだ、と思うととてもやりきれない気持ちになる。今回読み返してつらさが増した。
どうか阿選が報いを受けますように。何より泰麒と驍宗が無事に再会できますように・・・。


【「乗月」あらすじ】
苛烈な法を課し民を残虐した前峯王が討たれて四年。諸侯をまとめていた恵州候月渓は、諸官の
頼みを退け王宮を去ろうとしていた。簒奪者の自分が仮王として玉座に座る訳にはいかないと。
そんな折に、突然縁もゆかりも無い慶国から使者が訪れる。使者の禁軍将軍の青辛は、月渓への
親書を携えていた。それはかつての芳の公主、祥瓊から月渓に宛てられた一通の手紙だった。

前峯王仲韃がいっそ腐敗していれば期待する事も無く、憎む事さえできたのに、仲韃は最後まで
無私無欲で。憎みたくない相手を憎まなければいけない苦しみが、月渓に大逆を決意させた。
だからこの弑逆は大罪だった、という事がわかるのが良いなぁ。月渓と冢宰の小庸が仲韃を
懐かしそうに語るシーンも良かった。思慕と、憤りと。複雑だな・・・。そしてとても悲しい。

その後桓魋の言葉と、祥瓊からの手紙を読み、祥瓊の減刑を願う為に供王に文を送る、それは
恵州候という一州候としての立場では無く、芳を預かる人間として・・・という流れが上手い!
何より祥瓊の自覚と悔恨が月渓に届いた、というのが嬉しかった。供王珠晶の粋な処遇も良いw
表向きは国外追放という温情、そして「干渉するな」という自国に専念せよというメッセージ。
さすが在位90年の珠晶だわ・・・王の器というのはこういう事を指すんだな、と改めて感じた。
きちんと罪を贖う為に、恭へ向かおうとした祥瓊もえらいな。極刑になったかもしれないのに。

話としてはその流れでめでたしめでたしなんだけど、芳はこれから止めようもなく傾いていく、
民は苦難を舐める事になるという現実もしっかり記されている。まだまだ問題は山積みなのだ。
この世界で生きるという事は本当に大変だ・・・。芳の荒廃が少しでも抑えられる事を祈る。

あと今さら疑問に思ったけど、予王より、麦州候浩瀚の方がよっぽど王に向いてそうじゃない?
それでも天は予王を選んだ。浩瀚に足りないものが、予王にしか無いものがあったのかなぁ。
それは他の十二国記作品でも思う事だけど、本当に天意というものはよくわからないな・・・。

それと「罪の重さを知らない事が罪」という話、僕も無知な人間だから、身につまされるな。
今までたくさんの間違いを犯してきたけど、もう大きな罪を犯さないで生きていきたい・・・。


【「書簡」あらすじ】
慶国の首都尭天から雁国の首都関弓へと飛ぶ一羽の鳥。それは人の言葉を伝える。景王陽子
彼女を助けた半獣の楽俊の近況を知らせるやりとり。誠実に、けれどお互いに背伸びをして。

名高い雁国の最高学府、そこでも半獣としての差別がある事が残念だった。どこの世界でも、
差別は存在するのだな・・・。楽俊が優秀ゆえのやっかみもあるのだけど、彼だけが本を
借りた時にそのねずみの外見、貧しい身なり故か念書を書かされないといけないとか、嫌だな。

しかしそんな事は陽子には伝えない、しかし陽子はそんな事をちゃんとわかっていて、言葉に
して他者の同情を求めたりしない楽俊の事を陽子は尊敬している。本当に良い関係だなぁ。
これからもふたりの関係が続いて欲しいな。できれば近いところで。楽俊は将来的には巧国の
力になりたいと思うのかもしれないけど、慶の国府に入って欲しい気もする・・・難しいな。

こちらの世界の人々にとって、祖国は大切なものなのだなとたびたび感じる。国が荒れ故郷を
追われた難民も、新たな王が発ったら貧しくても帰ってくる。楽俊のお母さんも王が斃れて
妖魔が蔓延るなど荒廃が始まっても巧で暮らし続けている。それだけの拠り所なのかな・・・。
でもお母さんはどうやら楽俊が雁に呼ぶみたい。その方が絶対に良いよ、心配だもの・・・。
大学へ入れてももちろんそれで終わりでは無く、成績や学費の問題があり、差別も存在する。
つらい事も多いけど、上手く乗り越えていけると良いな。そしてまた楽俊の話を読みたい。


【「華胥」あらすじ】
才国は扶王の失政を糾弾する、砥尚を始めとした民衆による高斗という集団は、国の理不尽と
戦い、扶王亡き後は荒廃と戦った。そして砥尚は采麟の選定を受けて新王となる。誰もが砥尚を
信じた。それから20数年、いっかな国は豊かにならず、その王朝は無残にも沈もうとしていた。

責難は成事にあらず」という言葉以外はまったく内容を覚えていなかったので、ここまで
ハードで悲しい話だったとは・・・と読んで驚いた。以前読んだ時は気づかなかったけど、
これは「幻想水滸伝」シリーズのような主人公たちの集団がたどり着いたハッピーエンドの
その先の物語だな。傑物である主人公と、若く理想に燃える仲間たち。主人公は王となり、
仲間たちもそれを支える官吏となった。あの日語り合った、理想の国を作るのだという夢、
せつないほどまぶしい輝かしい過去。しかしそれからわずか20年で、その命運が尽きる・・・。
こういう残酷な未来が訪れるケースもあるんだな・・・と現実を見せられたように感じた。

朱夏の従者の青喜がたびたび核心を突く発言をしており、何でも答えを教えてくれるようで、
ちょっと聡すぎないか、便利に使いすぎていないかと思いはしたものの、推理物としても楽しめ
面白かった。王父と王弟を殺したのは誰か、砥尚か・・・?というところに焦点を当てるんじゃ
なくて、なぜそうする必要があったのか?について思考を巡らせるところがとても良かったな。
栄祝たちの砥尚の何がいけなかったのかわからないという疑問と、件の砥尚の凛とした姿勢、
なぜ才が沈もうとしているのか・・・という謎から始まり、だんだんとほころびが露呈してきて
転がり落ちるように状況が悪化していくのも、悲しいけど読ませる力があって良いなぁと思う。

砥尚は政務に飽いたり民を虐げたりしている訳でも無く、登極以来誠心誠意民に向き合っている
のにも関わらず失道してしまう、国を収める能力が無かったから・・・というのがとても悲しい。
無論、統治が難しい事はわかる、でも破格の早さで大学を卒業した砥尚や、志を同じくした
仲間たちの誰もが無知で無能な政の素人だったとは思えないのだよな・・・。慎思の言うように
確信を疑わなかった、それも間違いだったとは思うけど、一番は奸吏の所為のような気がする。
栄祝と朱夏が奏から帰った時の荒らされた部屋もひどかった。本当に人に恵まれず不運だよ。
官吏に恵まれていれば、国はもっと上手く立ち直っていたと思う。これも砥尚たちの所為なの?
砥尚に国を収める能力が無いとわかっていて王にしたのなら、天帝の罪でもあるんじゃないの?

そもそもよくわからないのだけど、後に采王になる慎思が居るのにも関わらず、なぜ一度砥尚を
王にしたのだろう。最初から慎思を選んでおくべきだったんじゃない?その所為で民や采麟に
取り返しのつかない傷を負わせる事になったのだから、天意にも腹が立ってしまうよ・・・。
もちろん、砥尚や栄祝など失われた人々も取り返しがつかない。悲しすぎる事件だよ・・・。
冬栄」の廉王世卓の言葉を聞いている限りでは、天が砥尚に期待しただけの働きを砥尚が
できなかったから天意を失った、という事なのだろうか。そうだとしてもそれはちょっとひどい
気がする。何にせよ、天の意思なんてろくなんもんじゃない、と思う事に変わりは無いな。

砥尚も実父や実弟を手にかけたので、完全に擁護できる訳では無い。でも本当に苦しかった
だろうな。栄祝と朱夏の命を惜しんで奏へ向かわせる時の、この部分が一番せつなかった。
命を惜しんでくれたのだと思うと、涙が零れた。砥尚はいまだに、栄祝や朱夏に対して友誼を感じてくれているのだ。にもかかわらず、大逆を問わねばならない。そんなことはあり得ないと一蹴はできない砥尚の心情を思うと、あまりにも悲しかった。(中略)きっと見下げただろう、侮蔑し憎んだだろう、それがゆえの大逆だろうと思いながらも、死を賜るには忍びない――と。
追い詰められた思考。何百万もの民の命を背負っていて、自分の命運も尽きようとしていて。
かつての仲間の声にも耳を貸せない、もう何も信じられない、己さえも。苦しいなぁ・・・。
繰り返すけど、本当に砥尚に悪を成そうというつもりは無かったのにこうなってしまった事が
ただただ悲しく、無念に感じる。救いが無い。彼らが報われる未来があって欲しかった・・・。

砥尚をそそのかし、罪をなすりつけたのが栄祝だったにのはかなり驚き、そして悲しかった。
その後自分で死を選んだのも。栄祝も罪を犯した、でも決して悪人では無かったはずなのだ。
だからとても悲しい。朱夏も信じていた夫だったし悲しい。悲しいばかり言っているけど。
息子や甥がこんな末路をたどる事になり、慎思も本当につらかっただろうな・・・。それでも
朱夏たちを叱咤し前を向いたのがすごい。この過程で天意を得たという事なのだろうか・・・。

慎思の「自分ができない事を他人ができないからといって責めるの?」という部分はちょっと
上手く飲み込めなかったな。簡単に他人を非難するべきじゃないという事はわかるのだけど、
自分ができないからって声を上げてはいけないのだろうか、とも思う。責めるだけで正しい道を
教えられないのでは何も生まないという理論もわかるんだけど、同時にそれでは大切な何かが
失われるのを黙って見ているだけにならない?とも思ってしまうのだ。正しい道はわからない、
でも明らかにそれは間違っている、と誰の目からも明らかなケースもあるのでは無いだろうか。
それともその間違っているという判断も、独りよがりな結論なのだろうか・・・わからないな。

しかしこの慎思が後に新王となった訳だけど、賊吏の横行するこの朝廷をどうやってまとめて
軌道に乗せる事ができたのだろう。砥尚と栄祝の罪を背負ってすごく頑張ったのかな・・・。
采麟もあれだけココロに深い傷を負い、立ち直ったのがすごい。「風の万里 黎明の空」では
まだ若干元気が無いような印象を受けたけど。奏への道中での描写は痛ましかったな・・・。
憎悪すらも感じるような状態で、それでも王を慕わずにはいられない。麒麟は悲しいな・・・。

あと、青喜の「本当に望んでいるのはこれなのに、そうであってはならないと感じる、あるいは
それを望めばいっそう悪いことになるのじゃないかと不安に思う」というセリフ、これは僕にも
よく当てはまる気がする。僕もそうやって自分の望みを抑えつける事が多かったように感じる。
本当にココロから望んでいるものを求める事はとても難しいと思う。今でも上手くできない。


【「帰山」あらすじ】
柳国が傾いているらしいという情報を得た宗王の太子、利広が王都にたどり着くと、そこには
古くからの顔なじみ、雁国の風漢も訪れていた。彼らは柳の違和感のある崩れ方について話す。
かくも王朝は脆い。死なない王朝は無い。しかし利広には、自国の終焉を想像できなかった。

何百年も生きた利広と尚隆のやりとりが好き。王朝が続く為に乗り越えなければならない山や
その終焉のパターンを知れるのが嬉しい。たくさんの終わりを見てきたふたりだからこそだな!
玉座に飽いてしまったのでは無いかと言われている劉王露峰。実際何が起こってるのだろう。
120年という半端な時期に起きた事や、早くも妖魔が蔓延っている事なども合わせて気になる。
そしてお互いが雁と宗の終焉を予想し合うところも面白い。ありそうで少し怖いけど・・・。

家族全員で治世を行う宗王一家もすごく好き。親しげな会話もまじめな会話もとても面白い。
巧の難民を受け入れる為に使い道の無くなる大型船を造るのでは無く、漁民に払い下げられる
小型船にした方が良い、隣国が施せばいずれその恩義を返せるかもしれないが、遠い国がそれを
行っても返せず、天から降ってきたのと同じ、難民にとって一番大切なものをくじく事になる、
という話が興味深かった。誰か一人から名案が出てくるのでは無く、全員から有用な意見が
飛び交うのが良いなぁ。頭が良いというのはこういう事だ。そして誰もがまっとうで魅力的。

王が斃れていない戴、斃れたばかりの巧に、あれほど早く妖魔が跋扈するようになるのは妙だ、
妖魔の方に何かが起きているのでは無いか・・・という推察も面白い。さすが600年生きている
人たちの考えは違うかなぁ。このへん、シリーズが続けば描かれるのかもしれないな・・・。

あとは陽子が褒められているのも嬉しいし、利広と珠晶の交流も続いているのも嬉しかった。
自分の国だけで手いっぱいなところが多い中で、宗王は利広から情報を得て他国の事も考えて
動いている。本当にすごいなぁ。何もしない天帝なんかよりよっぽどこの世界を支えているよ。
どうか奏がいつまでも安泰でありますように。この安寧が永遠に続いて欲しいなと切に願う。
何より、一家が語らうこの幸せな空間を、利広と同じく僕もまた確認したいなととても思う。


以上、予想以上に忘れているところが多くて楽しめました。面白かったです。それではまた。

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【料理感想】2020年5月29日 天使のレアチーズケーキ

はいこんばんはRM307です。この一ヶ月で作った料理はチャーハン、ピザトーストを何回か、
あとはみそ汁の他にたまに野菜ジュースのトマトスープやオニオンスープを作ったぐらい。
牛乳の代わりにインスタントキャラメルラテを使ってホットケーキも焼きました。そこそこ。
そういえばオクラがまた並ぶようになったのが嬉しい。まだ一袋258円ぐらいなので、もう少し
安くなったら買ってまたみそ汁を作ろう!たまねぎのみそ汁に飽きていたので楽しみだなぁ。

さて今月の料理回は、クリームチーズと生クリームを使った「天使のレアチーズケーキ」です。
Twitterであうり先生が作られていて、美味しかったと仰っていたので。レシピはこちら。簡単。
生クリームはボウルと水を冷蔵庫で冷やしてから作ったのだけど、やっぱり泡立てるのに時間が
かかり、7~8分はかき混ぜていた。腕がしんどかったな・・・。ハンドミキサーが欲しいかも。

20200530_天使のレアチーズケーキ
完成したものはこちら。切り分ける直前になって撮りました。というのも、包丁を入れた時点で
「あれ、これお皿に乗せられないんじゃ・・・?」と気づいたので。予想通り、柔らかすぎて
崩れてしまい、一般的なケーキのように取る事ができませんでした(耐熱皿から直接食べた)。
今日初めて連結ツイートを見て、ラップを敷いてタッパーに入れれば良かったなと思った・・・。
味は・・・おお、チーズが濃厚で、生クリームの甘みもあって美味しい!以前ヨーグルトを
使ったなんちゃってチーズケーキは食べた事があるけど、これはぜんぜん違うぜいたくな味だ。
一度に半分食べたらかなり満足してしまったw残りは明日母と分けて食べます。それではまた。

Web拍手

【演劇感想】2020年5月23日 美少年

はいこんばんはRM307です。今週は演劇回、今回も前回同様劇団柿喰う客の「美少年」の感想。
YouTubeの公式チャンネルの動画はこちら。前回の「変身の永島敬三さんも出演されていた。



【あらすじ】
日本中を揺るがせた、昭和の終わりに起きた美少年の誘拐事件。少年は無事に解放されたが、
たしかに誘拐された本人なのに、以前の彼とは何かが決定的に違っていた。それから30年後、
平成の終わりに事件は起きる。誘拐事件の犯人は、そしてかつての美少年の行き末は・・・。


演劇を観るのは2回目なので、演劇全般がそうなのかこの劇団の特徴なのかはわからないけど、
前回の「変身」同様にめちゃくちゃテンポの速いセリフをよどみなく発するのがすごかった。
シン・ゴジラ」以上に速くて、お客さんたちも初見で理解しているのだろうか?すごいなぁ。
しかも演者4人の声が完璧にそろっていて。なんて、プロにこんな事を言うのは失礼かもだけど。
あと「携帯電話の電源はお切りください」などの上演時の注意から、流れるように劇に入るのも
面白かったな。それを含め、たびたびメタ視点のセリフが入ったり一旦素に戻る演技になって
劇の流れが中断したりするのだけど、中盤からはほぼノンストップ、息もつかせぬ展開だった。
「変身」でもそうだったけど、メタ視点になっても嫌な感じは無く、すんなり楽しめる印象。
上手く言えないけど、最初はメタから入りながらも、劇に昇華されていくのが見事だった。

「美少年を演じる事を完全に放棄し~」など最初から笑いのポイントがいくつもあるのだけど、
実はそれには意味があって、終盤に回収されたり繰り返す事で引き立ったりしたのが良かった。
ただあまりにもセリフと展開が速かったのと、このブログではよく書いているけど僕の頭が
悪い為、ちょっとついていけないところも多かった。相当集中していないと僕には難しいかも。
ストーリーへの細かい感想は、あと2、3回観て理解しないと上手く書けない・・・すみません。
けれどそんな僕でも、「今すごい事が起きている!」という大きな渦のような力を感じたし、
それは大人たちを狂わせた運命と同じような、抗いがたい圧倒的な流れとして伝わってきた。
なるほどなぁ。僕ほど頭の悪くない人だったら、たぶんもっともっと楽しめる1時間だと思う。

遠方に住んでいるので観劇する事は難しいのだけど、生で観たらすごい迫力だろうなぁ・・・。
迫力といえば、美しい石膏像を前にした時の演者さんふたりの表情が、まるで目の前に本物の
石膏像があるような嬉々とした、狂気も感じるような生々しいもので、とても惹き込まれたな。
取り直したり編集したりするものとは違う、演劇ってすごいな!と思いました。それではまた。

Web拍手

【漫画感想】2020年5月16日 少女少年Ⅵ

はいこんばんはRM307です。今週は漫画回、今回はやぶうち優先生の「少女少年Ⅵ」の感想。
Ⅰの感想http://rm307.blog.jp/archives/79800528.html
Ⅱの感想http://rm307.blog.jp/archives/80211827.html
Ⅲの感想http://rm307.blog.jp/archives/80546839.html
Ⅳの感想http://rm307.blog.jp/archives/80932565.html
Ⅴの感想http://rm307.blog.jp/archives/81123439.html

【あらすじ】
小学四年生のは幼なじみのなすのと街へ買い物に。なすのの目的は青葉のぞみの写真集。
その帰りに光は自分そっくりな男の子とぶつかる。急いで去る姿を呆然と見つめる光の前に、
突如謎の男性が「見つけた」と現れ光は車で拉致されてしまう。行き先は芸能プロダクション。
なんでも、光そっくりな男の子だと思った相手は青葉のぞみの変装した姿で、光はのぞみが
男装した姿だと間違われてしまったのだ。撮影の時間が迫るが、のぞみには連絡がつかない。
マネージャーの村瀬は、急遽光にのぞみの身代わりを頼む事に。光の替え玉芸能生活が始まる!


ストレートにすごく面白かった!Ⅰ~Ⅲは王道で、Ⅳ以降も毎回女装少年が芸能活動をする。
6作目ともなるとさすがにもう考えるのが大変なんじゃ?とも思ったけど、この作品はまったく
そんな事を感じさせない、今までのシリーズのどの作品とも異なっていてとても楽しめた。
一つ一つのエピソードが際立っていたように感じたな。どう着地するのか予想できなかったし。
光の物語なんだけど、のぞみの成長も描かれていて。特に最終話、ライブ前に生理痛で倒れ、
そこに光が現れる。しかし光は代役を引き受けるつもりは無く、のぞみに発破をかける。
その言葉を受けてのぞみはステージに立ち、自分が今まで周りに甘えていた事を反省し、
ライブをやり通す!主人公の光が活躍する訳では無く、最後はのぞみが頑張ったのが良かった。
のぞみももう一人の主人公、むしろ真の主人公と思わせる構成になっているのも面白いなぁ。

光はなすのの事が気になっていたり、のぞみにもココロがぐらぐら揺れ動くようになったりと、
これまで同様恋愛要素もあるのだけど、今作はラブコメのコメディの方が強い内容だったな。
むしろ恋愛要素は光と浅間くんの方があるというwのぞみの替え玉である光の事が好きになり、
男でも関係無い!たまたま好きになったのが男だっただけだ!と光に想いを伝える!きゃー!
こういうBL好きなのでどきどきしちゃったw結ばれる事は無いだろうけど、浅間くん頑張れ!w
なすのの反応から、彼女はまだ光の事を意識している訳では無さそうで、そうなるとやっぱり
光はのぞみとくっついてくれたら良いなぁ。光にかばわれて顔を赤くしたところが可愛かった。

キャラでは、今までのシリーズの正統派美少女的な立ち位置の子が幼なじみ(性格は違うけど)
だったのが珍しかった。強気なのぞみの性格も可愛く、ツインテは僕が好きでよく描くタイプ!
こういうツンツンしたツインテ良いよね。でも僕の絵とはぜんぜん違い魅力的に描かれている。
ライブ後の笑顔も可愛かったけど、一番惹かれたのはこのせつなげな表情。めっちゃ可愛い!
20200516_少女少年Ⅵ
やっぱりやぶうち先生の描かれる女の子(男の子)は素晴らしいなぁ。今作も堪能しました。


以上、ラブよりコメディ感の強い、楽しさがぎゅっと詰まったような作品でした。それではまた。

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【映画感想】2020年5月9日 blue

はいこんばんはRM307です。映画回の今週は安藤尋監督の「blue」の感想。116分の百合映画。
魚喃キリコさんの同名の漫画を映画化したもので、市川実日子さん、小西真奈美さんが出演。

blue [DVD]
村上淳
ケイエスエス
2003-09-26


正直、感想を書くのが非常に難しかった。2003年の映画で原作が1996年。発表当時からすると、
もしかしたら新鮮に受け取られる内容だったのかもしれないけど、2020年からするとどうしても
古い印象を受けてしまい、どう表現しても僕では正当な評価を下す事ができそうにない・・・。
一応初稿からだいぶ文章を削り、推敲してやんわりとした表現に書き換えたりしたのだけど、
もしこの感想を読んで気分を害された方がいらっしゃいましたら、できれば気にされないで
ください。大人の作品の魅力がわからない、僕の感覚が幼いだけなのかもしれませんので。

ミステリアスな同級生と出会い親しくなり、次第に惹かれていく主人公、両想いになれたと
思ったら、彼女には実は恋仲の男性が居て主人公は苦悩する、彼女が男性の元へ行ってしまい、
それによって関係がこじれるのだけど、最終的にはまた彼女と想いが通じる、というラスト。
謎めいたちょっと悪いところもある留年している同級生、彼女が交際しているクソ男など、
素材は以前観た「スクールガール・コンプレックス~放送部篇~」と似通った部分が多い。
もしかしたら、1996年のこの作品が百合物のフォーマットになっている部分があるのかもな。
この作品の影響を受けていろんな百合作品が生まれた、これが原典なのだとしたら、チープと
言い切る事はできないな・・・。でもやっぱり、はっきり言って好きな話では無いかなぁ。

高校生なのにアルコールの入った飲み会(合コン)をし、会ったばかりの男と帰りにホテルで
セックスをする主人公、同じく飲み会で知り合った既婚男性と不倫して中絶した相手など、
どちらも好きになれず感情移入もできなくて、くっつこうが別れようがどちらでも良かった。
僕が悪い意味で潔癖で頭が固いという事もあるんだけど。行きずりのセックス、不倫、堕胎、
うーん・・・。都合の良い舞台装置程度に思えてしまう。セックスやら何やらを描くのが悪だと
言っている訳では無いんだけど、それに頼る青春ってどうも安直に感じられるというか・・・。
まぁ何度も書いているように、ありがちな話を描いている僕に批判する資格は無いかもだけど。
たぶんこの20年の間に多くの作品で作られ、その役割も薄まっていったのかもしれないな。

ただ良いところも二つあった。一つは、相手と親しくなり、ふたりでお弁当を食べるように
なった主人公に対し、以前いっしょにお昼ごはんを食べていた主人公の友人三人のうち一人が、
「主人公や相手が居た時はパン代を割り切れていた、でも三人じゃ上手く割れないんだ」と
言うシーン。直接「いっしょに食べよう」と誘わず、そっと気遣った言い方が良いなと思った。
もう一つがラストシーン。相手を残して東京へ行った主人公へ相手が送ったビデオテープ、
主人公と相手が訪れていた思い出の浜辺で、相手が手持ちカメラでひたすら海を映して終わる。
ここも良かったな。映るのは景色と相手の足だけで、人物や表情が一切描写されないのが好き。

あと主演の市川実日子さん、どこかで観た事があるなと思いながらWikipediaを開いたら、あの
シン・ゴジラ」の尾頭ヒロミさんだったのか!!!若いから印象が違い、気がつかなかった!
小西真奈美さんもお若いですね。高校生に見えるかというと微妙なんだけど、まぁ若く見える。


以上、「スクールガール・コンプレックス」しかり、邦画の百合作品がこういうパターンなら、
もう観る事は無いかもしれません。来月はまたアニメ映画を観ると思います。それではまた。

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