はいこんばんはRM307です。今週は読書回。村上春樹作の「国境の南、太陽の西」の感想です。
村上春樹を読まないつばき先生のだんなさんの本棚に唯一あった村上作品でおなじみですね(?)。
昔なぜか気に入っていて何度も読み返した作品。村上さんの書く人の半生が読みたくて再読する事に。

国境の南、太陽の西
村上 春樹
講談社
1992-10-05

【あらすじ】
一人っ子である事に引け目を感じていた始は、同じく一人っ子の転校生島本さんと仲良くなる。
彼女とたくさん親密な時間を過ごしていたが、中学生になってからは疎遠になり、やがて彼女は
引っ越してしまう。けれど始はずっと彼女の事を忘れられなかった。25年後、ふたりは再会する。
始は奥さんも子どもも居る身だが、再会した島本さんにどうしようも無く強く惹かれていく。吸引力。

あっさりすぎるあらすじだけど、村上春樹作品のあらすじってどう書いて良いかわからないんだよ。


始の半生や、どういう感じで店舗を大きくした、みたいな部分はやっぱり読んでいて面白かった。
途中島本さんにココロを奪われていく始を見るのがしんどくて、続きを読みたくないなと思い
読むのを中断したりしたけど、結局は読みやすいので再開後は最後までするすると読めてしまった。

以前読んだのは十代の頃、その時と違うのは、僕が誰かに強く惹かれた経験があるというところ。
その経験をした後で読むと、ふむふむなるほど、ああこういうのあったなぁと思うところもあった。
「でも、そのときの僕にはわかっていなかったのだ。自分がいつか誰かを、
とりかえしがつかないくらい深く傷つけるかもしれないということが。
人間とはある場合には、その人間が存在しているだけで誰かを傷つけてしまうことになるのだ。」
共感したポイントはここかな。あるいは誰にでも多かれ少なかれそういう事はあるのかもしれないけど、
ある作者さんにとっても、僕の存在が今も傷つけているという事はあるだろうなと思っていたので。
それでも、今は新都社を去る事はできないのだけれど。その作者さんには本当に申し訳無いと思う。


読み終わって、やっぱりもう二度と誰かに恋(僕が恋なんて言うのは恥ずかしい事だろうか?)
なんてしたくねーな!と思った。誰かにココロを奪われて、正常な判断ができないなんて怖すぎる。
まぁこの小説の登場人物の場合はしっかり考えての決断だったりするのだけど、僕の場合はね・・・。
自分の経験を思い返しても、当時の僕はホント病気だったよな・・・と自分が恐ろしくなってくる。
三年前につばき先生に「恋した方が良いよ(ぺしぺし)」と言われたけど、やっぱり怖いよ・・・。
大人になれば多少は強く(あるいは鈍く)なっていくと思っていたけど、実際はひどく臆病になった。

特に毎回「またね」を言った後の胸にぽっかりと穴が空いたような寂しさ、あれを二度と経験したくない。
よく使われる表現だけど、本当に穴が空いて冷たい風がびゅーびゅー吹いているみたいだったな。
他にも、決してどこにも行けない想いを抱えて痛むココロや、胸が詰まって上手く呼吸できない事、
それでも好きな気持ちは加速して・・・みたいなのもホントもう良いよ。二回で十分です・・・。
ブレーキの壊れた自転車で急な坂道を下るようなものだった。僕は普通にサイクリングしていたい。
僕は僕のペースを乱されたくないし、もう誰にも自分をそっくりそのまま明け渡したりしたくない。
(これは僕の恋の仕方にも問題がありそうだけど、僕はそういうふうにしか好きになれないかも)
もちろん相手から嫌われる事、傷つく事も怖い。いつか必ずそういう日がきてしまうだろうから。


あと、たぶん恋にも体力が必要になってくると思う。昔は平行してFAを描いたり漫画を描いたり
できたけど、今となってはその体力が無いと思う・・・。仕事と恋愛と創作をこなせる気がしない。
歳をとると体力の問題も関わってくるのだなぁと新鮮な驚き。子どもの頃は想像もしていなかった。

幸い今のところは一人が寂しいとは思わないし、セックスをしたいとも思わないので問題が無い。
(まぁたまに好きなひとと手をつないで歩いたりハグしたりしたいと思う事はあるのだけれど)
でもいつかもっと歳をとった時に、孤独である事を後悔する日がくるのだろうか?なんて事も思う。
その時になってからでは遅いのだろうか。だけど、孤独が怖いから相手を見つけようとするのは
ちょっと違うと思うのだよな・・・。少なくとも僕はしたくない・・・というのは言い訳だろうか?

それと誰かを恋愛的に好きだという気持ちが失われていく所為か、「百合少女交響曲♪」の続きを
描きたいという気持ちもあんまり無いんだよな・・・と言ったら読者さんに怒られるだろうか。
いやまぁ何とか過去の感情を引っ張り出してきて描くけど・・・今湧き上がる気持ちは無いなぁ。


長々とこんな事を言っておいて、後日「好きな人ができました」とか言っていたらごめんな!!!
そればっかりは僕にはどうする事もできないので。いつだってそれは大波のように人をさらっていく。
以上、作品の感想というよりただのいつものブログになってしまいましたが・・・。それではまた。