はいこんばんはRM307です。今週は小説の読書回。今回は太宰治作の「斜陽」の感想を。
先日読んだ「人間失格」がわりと良かったので、他の著作も読んでみようと思ったのだった。

斜陽 (新潮文庫)
太宰 治
新潮社
2003-05

【あらすじ】
第二次世界大戦後、没落した貴族の一家の、日が落ちるように滅びゆくさまが描かれる。

えー正直に感想を述べると、この作品の良さをまったく理解する事ができませんでした・・・。
読むのがとにかく苦痛で、160ページちょっとしか無いのに一週間かけてようやく読み切った。
まずわからない事だらけで、どうしてかず子が上原の事を好きになったのか読み取れなかった。
直治が恋をしていた洋画家の奥さんの事もそうだけど、登場人物のモノローグ、手記などで
前振りや伏線も無く突然語られるので、そんな唐突に言われても・・・と受け止めきれなかった。
(いや、直治が恋をしていた奥さんというのは上原の奥さんの事だったのかもしれないけど)
ただ、最後に上原の子を身籠ったかず子が「この子とともに古い道徳と戦っていく」と決めた
ラストは良いなと思った。母や直治は死んでしまったけど、かず子まで死ななくて良かったな。

自殺した直治の残した遺書で、遊んでばかりいる彼にも彼の苦しみがあり、決して快楽に溺れて
遊んでいた訳では無く、「貴族」というくびきから逃れる為に必死で民衆に混じろうとしていた、
という事がわかるけど、だからといって同情して好感を持てるようなキャラでは無いな・・・。
母が亡くなる直前、叔父に貧乏だからお偉方を呼び寄せる力は無いと言われたも同然だと言って
直治が叔父をケチだと罵るのだけど、その叔父から援助を受けているのにケチ呼ばわり・・・?
仮にも遊び回っている自分がそれを言うの・・・?だったら自分が働けば良いんじゃない・・・?
と思ってしまった。遺書にも「人にたかる事ができない、上原と遊んでも自分の勘定は自分で
出していた、他人の仕事で得た金で飲み食いしたり女を抱いたりなんておそろしくてできない」
と書かれていたけど、家族の金目の物を持ち出しては売り払って、それで得たお金だったのに
ずいぶんえらそうだな、他人にたかるのは駄目でもそれは良いんだ、と冷めた目で見てしまった。
かず子も、「本当の地獄がはじまった」と独白していたけど結局今までの暮らしは続けていたし、
自分が病に罹っていた訳でも誰かに虐げられたりするような事も無く、そこまで言うほどなの?
どのへんが地獄だったのだろう?と首を傾げた。戦後、もっと苦しい人はたくさん居ただろうし。
まぁ僕だって現代の日本という恵まれた環境で暮らしているし、他人を責められないんだけど。

まぁでも直治の手記や遺書の文章にも少しは良いところはあったので、一部を引用しておきます。
僕が早熟を装って見せたら、人々は僕を、早熟だと噂した。僕が、なまけものの振りをして見せたら、人々は僕を、なまけものだと噂した。僕が小説を書けない振りをしたら、人々は僕を、書けないのだと噂した。僕が嘘つきの振りをしたら、人々は僕を、嘘つきだと噂した。僕が金持ちの振りをしたら、人々は僕を、金持ちだと噂した。僕が冷淡を装って見せたら、人々は僕を、冷淡なやつだと噂した。けれども、僕が本当に苦しくて、思わず呻いた時、人々は僕を、苦しい振りを装っていると噂した。
あと良いところといえば、かず子が火の不始末から火事を出したところ、村人たちが飛び起きて
かけつけてくれて消火にあたったシーン。なるほど、昔は人々が団結していたのだなぁと思った。
別に現代人が冷たいと言いたい訳では無いんだけどね。そういう団結力は昔の方があったのかも。


以上、純文学を理解できない貧しいココロを持った人間が読むとこうなる、という一例でした。
人間失格」の感想は4000字近くあったけど、今回はその四分の一しか無かったですね・・・。
ホント苦行だったので、次はまた村上さんのエッセイでも読もうかな・・・。それではまた。