はいこんばんはRM307です。読書回の今週は小野不由美作「月の影 影の海」上巻の感想。
有名な「十二国記」シリーズの最初の話です・・・と思ったんだけど、正確には「魔性の子」が
最初だったな・・・と読んでから気づいた。まぁ良いか。そちらも後々読む事になると思うし。
読むのはもう5、6回目かも。前回読み返したのは七年前?つばき先生とこの作品の話で
盛り上がったのがキッカケだった。アニメもかなり観返したので、内容はほとんど覚えている。
でも今年最新刊が出るので読み返そう!と以前から思っていたのだけど、元気が無いと
キツそうだったのでなかなか読めなかった。5月以降はずっとメンタルの調子が悪かったので。

【あらすじ】
日本の女子高生中嶋陽子は、少し前から異形の獣がどんどん近づいてくる悪夢にうなされていた。
それでも平凡で、しかし窮屈な日常を送っていた彼女だったが、ある日学校に見知らぬ男が現れる。
彼は陽子に探した、陽子が自分の主だと言う。そして、危機が迫っているので自分といっしょに
きて欲しいと言う。抵抗する陽子だったが、突然襲撃に遭う。それは夢でみた異形の獣だった。
男から渡された剣と身体に取りついたバケモノによって異形の獣を斬り伏せた彼女だったが、
身の安全の為に彼とともに別世界へと旅立つ事になる。しかし追手に襲われ男と離れ離れになり、
陽子はたった一人で見知らぬ世界をさまよう。その男に再会して、元の世界に、自分の家に帰る。
その一心で旅をする陽子だったが、妖魔には襲われ、役人には追われ、人々には裏切られ続ける。
こちらには味方が居ない。でも帰っても自分の居場所は無い。陽子は心身ともに疲弊していく。


子どもの頃から親しみ、もはや身体の一部のようになっている作品なので、あまり書く事が無い。
とりあえず、もう二度と自分の家へ帰れないのはつらすぎるな・・・と思った。僕は自分の家が
大好きで、お仕事中も外出中もとにかく早く家に帰りたいとばかり考えている人間なので・・・。
もちろん好きな人々、猫たちと別れないといけないのも苦しい。現実世界で好きな存在といえば
母と飼っている猫ぐらいしか居ないけど、ネット上の好きな人々とは絶対に離れたくない・・・。
もし蝕に巻き込まれて海客として十二国に行ったとしても、インターネットはできて欲しい(?)。

同じ海客として日本からやってきた松山誠三というおじいさんも、あと半月で第二次世界大戦が
終わったのに、自分は言葉も習慣もわからないこの世界に放り込まれ、二度と故郷へは戻れず、
家族も居ない、何十年もたった一人で生きてきた・・・。つらすぎるな・・・としか言えない。
僕も将来的には独りぼっちになるだろうけど、まだ安心して暮らせる世界には居るからな・・・。
このおじいさんが陽子を裏切った時もつらかったけど、でも誰にも責められないような気もする。

僕はこの作品はアニメから入ったのだけど、アニメではずっと翻弄されていた印象だった陽子が
原作では計算して動いていたりしてちょっと驚いた。たとえば最初に巧国で役人に捕らえられ、
馬車で護送されていた時、剣の場所を確認する為にそれとなく役人にたしかめさせたところとか。
アニメではこの時ずっと泣いていた印象だったものな。浅野君と杉本さんが居たからだろうけど。
その後妖魔に襲われてその男が殺され、その身体の下を探って剣を引き抜くシーン、つらい・・・!
死体なんて見るだけでも相当キツいのに、陽子は人間の死体を見るのはその時が初めて、
しかもそれは妖魔に食い散らかされた肉の塊となった死体で・・・。一生トラウマになるよ・・・。

ただひたすら帰りたいと願う陽子。剣の見せる幻で、泣いているお母さんを見て絶対に帰ると言う
彼女に、蒼猿は「たとえ子どもがお前じゃなくても、もっと最低の子どもでも母親は悲しむ、
そういう生き物だから。情が移っているだけ」と嘲笑う。子どもの頃にこのシーンを観た時は、
そうなのか!親は必ずしも子どもを愛している訳では無いのか!情が移るだけなんだ!と思った。
それ以来、幼い僕の中で「親は僕が僕だから好きでいてくれている訳では無い、情が移っただけ」
という考えはしっかり根づいてしまい、その後あらゆる場面でその言葉を思い出す事になった。
そして僕の父親もそうなんだろうな、それならあの父親の態度にも納得がいく、と思っていた。
もちろん実際にはそんな事は無く、子どもを愛してる親だってきっとたくさん居るんだけどね。

あと以前も書いたけど、世間には夫がお風呂に入る際に妻が着替えを用意する家庭があるらしく、
陽子の両親もそのうちの一つだった。以前どこかで知ったような気がしていたのはここだったか!
陽子のお父さんは陽子がジーンズを履こうとした時に「女の子らしくない格好はみっともない」とか
「女の子は男の子に競争で勝たなくて良い」とか平然と言ってのけていて、当時子どもながらに
うわぁ・・・古い・・・と思っていたなぁ。現実にもこういう男は居たりするのだろうか・・・。
この作品が書かれたのは1992年だけど、当時でも古い価値観だったんじゃないかなぁ。たぶん。


以上、実はここでやめるのがつらくて楽俊に会いに下巻も読み始めたのだけど、今回は上巻だけ。
上巻はひたすら救いが無いけど、そんなところもどこか心地良かったりしました。それではまた。

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