はいこんばんはRM307です。読書回の今週は小野不由美作「風の海 迷宮の岸」上巻の感想。
十二国記」シリーズの続編、今回は胎果の麒麟である泰麒が主役のお話です。10歳の男の子。
以前も書いたけど、子どもの頃から親しんでいてもはや自分の一部になっている作品なので、
内容についての感想はほとんど生まれなかった。またしても自分語りが中心になっています。

【あらすじ】
蓬山で起きた蝕によって蓬莱へ流された戴国の麒麟の卵果は、十年後にようやく見つかった。
普通の人間の子どもとして成長し、けれど周りと馴染む事ができなかった彼は、自分の本当の
居場所がそこには無かった事を知り涙する。「泰麒」と呼ばれ、新たな居場所で女仙たちから
愛情深く接せられる彼だったが、転変もできず、自分が彼女らに何も返せない事に悩んでいた。
蓬山から十年も離れていた、転変のみならず使令も居ない泰麒は、自国の王を選べるのだろうか。

またアニメの話になるけど、僕は釘宮理恵さんはこの作品で知ったので、釘宮さんというと
男の子役のイメージだった(その次が「鋼の錬金術師」のアルフォンスだったのでなおさら)。

泰麒は10歳だけど、だいぶ幼いですね。僕が10歳の頃はもっとずっとこまっしゃくれていたな。
蓉可がひざをついて泰麒の目線に合わせて話すシーンがあったけど、10歳の僕だったらきっと
「子ども扱いされている!」と腹が立っただろうな。いやまぁ10歳なら子どもなんだけどねw
以前新ブログにも書いたけど、僕は小学校に上がったら「子ども」は卒業だと思っていたし、
幼い頃から大きな相手にかがんで目線を合わせられると「侮られた」とむかっとする性格だった。
子ども扱いするな!対等に扱え!と思っていたのだよな。ずいぶんと生意気な話だけど・・・w
僕が悪ガキだっただけか。まぁでも、泰麒はかしこいけど反応や行動が6歳児ぐらいに思える。
別世界に連れてこられたにしては順応するのが早いし。それだけ純粋な子なのかもしれないな。
僕は泰麒のような良い子ではぜんぜん無いけど、読んでいて昔の自分をいろいろと思い出した。

たとえば、祖母から床に水をこぼした犯人扱いされた要(泰麒の日本での名前)が、雪の降る
寒空の下に立たされた場面で、彼は常々祖母から嘘をつくなとしつけられていた為、自分が
やったと嘘をつく事ができなくて途方に暮れていたエピソード。僕が小さい頃、食事中に父から
お茶碗を持つ腕の脇を締めなさいと注意されたんだかなんだったかした時に、言いつけを守って
忠実に脇を締めて窮屈そうにして食べていたら、父から「それ嫌味でやってんの?」と言われた。
僕としては父の言いつけをちゃんと守ろうと思っての行動だったので、とても驚き悲しかった。
たしか、「嫌味」という言葉の意味もまだわからないくらい幼かったので、何も言えなかった。
母は何も言わなかったので、もしかしたら本当に僕が嫌味で行っていたように見えたのかもな。
あの時の父の冷たい声、重苦しい空気は今でもよく覚えているので、相当つらかったのだろうな。

景麒と話した後に自分が情けなくなった泰麒が、できそこないで、愛情をもらうばかりで、
期待に応えられないでごめんなさいと泣く場面、僕もよく似たような事を思っていたなぁ。
子どもの頃から思っていた事だったけど、新卒で入った会社で働いていた時の事も思い出された。

就職当時、とにかく周りに迷惑をかける事が怖かった。忙しい先輩社員に教えてもらう事に
いつも恐縮していて、相手の時間を奪ってしまう事がとても申し訳無くて常につらかった。
新人なんだからわからない事があって当たり前、訊いて当たり前なのだけど、僕が訊いた事で
先輩の作業を遅らせてしまう、余計に残業させてしまうという考えを振り払えなかったし、
僕と同い年でもばりばり作業をこなしている協力会社の人も居て、僕もちゃんとできないと、
と毎日プレッシャーだった。結局そのプレッシャーに押し潰されてしまう事になるのだけど。
その後退職して、もっと迷惑をかける事になってしまった。辞めてからも本当に申し訳無くて、
頻繁に職場の夢をみていた。今でもたまに思い出しては申し訳無かったな・・・と反省している。
当時、始めのうちはできなくても良かったんだ、と思えたらぜんぜん違ったんだろうけどなぁ。
「みんなが普通にやってる事ができない」という意識が強かった。まぁ今もなんだけどね・・・。
たぶん今後転職しても、新しい職場でもそう思い続けるだろう。変えられそうにない・・・。

この後、景麒が泰麒を探している時に女仙たちから小言を言われまくっていたのが面白かった。
景麒の面白かったところでいうと、妖魔の折伏(使令として契約する際の呪術のようなもの)の
方法を教える時に「息を吐く時はできるだけそっと吐く事、これも常日頃から心がけるように」
と言っているのだけど、お前普段からため息ばっかりついとるやんけ!とツッコんでしまったw

そんな良い子な泰麒だけど、学校の先生から「周りと馴染んでくれなくて困る」、「友だちが
居ないのは問題」と言われていたのはひどいなぁ。先生の言う言葉じゃないよね・・・可哀そう。
だからこちらの世界に来る事ができて良かったな、と思ったのだけど、一年後に泰麒は・・・。

以上。あと泰麒がここは別の世界なのかと尋ねた時に、「タンスを通り抜けたみたいにして」と
書かれているけど、後に「ナルニア国物語」を読んでその意味がわかった思い出。それではまた。