はいこんばんはRM307です。今月の映画回はスタジオジブリの「思い出のマーニー」の感想。
何か百合らしいという噂を目にしたので観る事にしました。ジブリ作品は好きだったんだけど、
そういえば「ハウルの動く城」を映画館で観てがっかりして以降の作品は観ていなかったな。

思い出のマーニー [DVD]
ウォルト・ディズニー・ジャパン株式会社
2015-03-18


【あらすじ】
12歳の杏奈は早くに家族を失い、頼子に引き取られていた。学校でも友人と上手くいかず、
持病のぜんそくも悪化した彼女に、主治医は田舎での療養を勧める。夏の間頼子の親戚夫婦に
預けられた杏奈は、外出先で他人を避けて逃げた入り江で偶然古びた大きな屋敷を発見する。
もう誰も住んでいない廃墟だったが、その夜、夢で杏奈はそこに外国人の少女の姿を目にする。
最初は夢で遠くから見るだけだったが、その後入り江にあるボートに乗り、屋敷へ向かうと、
そこには少女マーニーが住んでいた。杏奈は彼女にココロを許し、ふたりの交流が始まった。


夢野ヒトミ☆先生が含むところのあるようなツイート(「評価も評判もこんがらがっている」)
をされていたので、観る前は「がっかりする内容だったらどうしよう・・・」と心配していた。
杏奈は幻覚を見ているのだろうか、まずい方向へ進んでしまわないだろうかという心配もあり、
はらはらしていたけど、とても良い話で面白かった。彩香がマーニーを知っていたところでは
杏奈と同じように「マーニーは実在したの・・・?」と不思議な気持ちになって、どうなるか
ぜんぜんわからなかったな。目の色で杏奈には外国人の血が流れているとわかるシーンも、
どうつながるんだろう?と思いながら観ていて、久子のマーニーの話でようやく気づいた。
よくできている!マーニーと出逢ったのは偶然じゃなく必然だったのかな。何だか嬉しくなる。
マーニーとふたりでサイロへ向かうところから、少しずつ差異が生まれていくのも良かった。
まぁ不安になるし、マーニーを失う事になる杏奈の直後の気持ちを考えると悲しいんだけど。

でも杏奈が元気になって本当に良かった。彼女について、最初「感情を表に出ない」と言われて
いたけど、内向的なくらいでぜんぜん普通の子じゃん、問題なんか何も無いよ~と思っていた。
大岩夫婦もそう思っていたみたい。悪いところを改善できてハッピーエンド、とかじゃなくて、
杏奈が自分自身で良いと思い出したという事なのかなぁ。すべてひっくるめて一歩前に進めた。

腹を立てて「ふとっちょ豚」と呼んでしまった信子(最初中年のおばさんだと思った・・・w)
にも謝る事ができて、しゃべらなかった十一も口を開いて、頼子の事を「母」と紹介もして、
おいおい全部回収してくれるのかい!ぜいたくだな!と嬉しかった。できれば久子に杏奈が
マーニーの孫である事も話して欲しかったけど、それは最後に時間を使って描く事でも無いか。
お手紙を書くとも言っていたし、久子との交流が続いて欲しいなぁ。来年の夏もきて欲しい。

頼子の親戚の大岩夫婦はひたすら良い人でほっとした。杏奈の事を気にかけつつも、きちんと
信頼しているのが伝わってきてすごいなぁと思った。僕だったらまだ12歳の子どもを預かったら
もっと気を回してしまうよ。夜遅くまで帰ってこなかったり、信子の母親が乗り込んできたり、
道端で倒れたりしていても、子どもの行動を尊重してあげるのってなかなかできないよなぁ。
ちなみに奥さんの方のセツさん、お世話になっている職場のパートのおばさんに似ているwww
こちらはもっとおせっかい焼きなのだけど、体型とか雰囲気とかセツさんによく似ているのだ。
知らない子の境遇を聞いただけで涙していた彩香も良い子だったなぁ。こちらは、赤川次郎の
杉原爽香シリーズの爽香に似ている(名前と眼鏡からの連想w)。杏奈とも再会して欲しいな。

対照的に、マーニーの周りの人々はひどかったな。マーニーが家政婦たちに無理やりサイロに
連れて行かれたエピソードがつらくて謎だった。どうしてそんなにひどい事をするんだ・・・?
中でもマーニーを置いて遊び呆けていた母親!子どもがつらい目に遭うのは本当に許せない。
そして夢みていた愛する家庭をようやく持った直後に、だんなさんが亡くなるなんて・・・。
幼い頃にたくさん寂しい時間を過ごした分、その後の人生は幸せであって欲しかったな・・・。
和彦や久子と過ごせた時間は幸福だったかもしれないけど、本当にわずかな時間だったから。
代わりにはならないかもしれないけど、祖母の思い出を抱いて、杏奈が幸せになって欲しい。

距離を詰められたり触れられたりするのに慣れていない杏奈のマーニーへの反応、たしかに
百合と言われるのはわかる。お互いストレートに相手に「あなたが大好き」とも言っているし。
(もちろん、必ずしも恋愛的な意味での好意であるとは限らないので決めつけられないけど)
個人的には友情に感じるかなぁ。百合でも良いけど。まぁそれはそこまで重要じゃないかも。
自分に初めてのものを見せてくれる、初めての経験をさせてくれる、いっしょに居る時は自分を
飾ったり偽ったりせず、ありのままの姿の自分を見せる事ができる・・・。そんな特別な相手。
それはたぶん、相手の年齢も性別も関係無いところにあって、友愛や恋慕というカテゴリに
たやすく分けられない事だってある。僕は杏奈とマーニーを観ていて、単純に大切な相手が
居るって良いな、と思った。それで良いや。結論から逃げていると思われるかもしれないけど。

悪い意味じゃないけど、これ日本だよね?時代設定はいつなんだろう?と違和感を覚えながら
観ていて、フォロワーさんが仰っていた原作を検索したのだけど、もともと外国の小説なんだ!
それでかと腑に落ちた。日本に置き換えても、やっぱり物語の作りは国で異なるものなのだな。
あとキャスト名で甲斐田裕子さんと藤田茜さんのお名前を発見した。声では気づかなかったな。

以上、16年ぶりのジブリの新作、心配はしたけど楽しめたので良かったです。それではまた。

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