はいこんばんはRM307です。今週は演劇回、今回は劇団柿喰う客の「傷は浅いぞ」の感想。
2007年に初演され、2012年にリバイバル公演された際の動画が公式チャンネルにありました。
【あらすじ】
スケジュールが白紙なアイドル矢衾愛弓は、マネージャーの一本槍官兵衛から勧められた
鎖鎌の練習中に鼻を強打してしまった為、ミュージックステーションの生放送中に鼻血を出して
スタッフに退場させられてしまう。しかし瞬間視聴率が上がった事で、裏番組「電波ガールズ」
のプロデューサー太刀花鞘花に目をつけられる。彼女は愛弓にオファーを出し、この番組への
出演が決まった。3週勝ち抜けば冠番組を持つ事ができるのだが、その内容は苛烈極まりない、
アイドルを痛めつけるのが目的の番組だった。愛弓は勝ち抜き、人気アイドルになれるのか。
官兵衛が推す特技の鎖鎌を、愛弓だけじゃなくかつてアイドルとしてマネージメントしていた
鞘花も使え、さらにそれだけじゃなく放送作家の盾林までもが使えて最後は三人が回しながら
話が進んでいくなど、笑いどころが多かった。その後うっかり盾林が手放した鎌が鞘花を刺し、
鞘花は死んでしまうのだけど、「運命って残酷」と他人事のように言うシーンも良かった。
でも喜劇では無く、過去に鞘花により官兵衛が交際していた新人アイドル・園山あきなが自殺に
追い込まれていたり、愛弓もレイプされて身体を切られたナイフで相手を殺した過去があったり
など、ダークな面も。番組内容もゴキブリを食べさせるのはまだぎりぎり受け止められたけど、
鞘花がアイドルに硫酸入りのカレーを食べさせて身体をぼろぼろにして声を出せなくさせたり、
高い場所から水の無いプールに落としたりしたのは怖かったなぁ・・・。特にプール、地面に
叩きつけられた時のぐしゃっという効果音や、官兵衛の静かな状況説明の演技に恐怖を覚えた。
でも一番怖かったのはラストシーン。YouTubeのコメントの解説でわかったのだけど、すべては
愛弓の「レイプした相手への正当防衛が認めてられていたら」という妄想で、実際は殺人の罪で
逮捕されて終わる。ただただ自分が傷を受けただけだった・・・という・・・悲しいな・・・。
3週目の企画で、愛弓が傷も含めて自分だと自身の存在を肯定していたけど、現実でも誰かに
肯定して欲しかったのだろうな。でも実際は非情な未来が待っていただけ・・・つらい・・・。
かつて父の収賄容疑でアイドル生命が終わり、官兵衛からも傷物として見放された鞘花が言った
「傷のある人間は、傷のある人間はね、アイドルになれないのよ!」も印象的だったけど、
これも妄想に逃げながらも愛弓が消しきれなかった呪いだったのかと思うとせつない・・・。
僕はアンハッピーエンドはかなり苦手なのだけど、これはすごく良い脚本で好きだなと思った。
あと良いなぁと思ったのが、打ち合わせのシーンで企画の内容や演出の説明をしながら徐々に
ボルテージが上がっていき、そのまま流れるように本番のシーンに移る演出。カッコ良かった。
以上、面白かったです。演劇感想は年4回書いてきましたが、今回でおしまいです。舞台演劇は
まったく観た事が無かったけど、思っていた以上に良かったな。機会があったらまた観たい。
新型コロナウイルスで大変な状況だけど、上手く乗り切っていけますように。それではまた。
2007年に初演され、2012年にリバイバル公演された際の動画が公式チャンネルにありました。
【あらすじ】
スケジュールが白紙なアイドル矢衾愛弓は、マネージャーの一本槍官兵衛から勧められた
鎖鎌の練習中に鼻を強打してしまった為、ミュージックステーションの生放送中に鼻血を出して
スタッフに退場させられてしまう。しかし瞬間視聴率が上がった事で、裏番組「電波ガールズ」
のプロデューサー太刀花鞘花に目をつけられる。彼女は愛弓にオファーを出し、この番組への
出演が決まった。3週勝ち抜けば冠番組を持つ事ができるのだが、その内容は苛烈極まりない、
アイドルを痛めつけるのが目的の番組だった。愛弓は勝ち抜き、人気アイドルになれるのか。
官兵衛が推す特技の鎖鎌を、愛弓だけじゃなくかつてアイドルとしてマネージメントしていた
鞘花も使え、さらにそれだけじゃなく放送作家の盾林までもが使えて最後は三人が回しながら
話が進んでいくなど、笑いどころが多かった。その後うっかり盾林が手放した鎌が鞘花を刺し、
鞘花は死んでしまうのだけど、「運命って残酷」と他人事のように言うシーンも良かった。
でも喜劇では無く、過去に鞘花により官兵衛が交際していた新人アイドル・園山あきなが自殺に
追い込まれていたり、愛弓もレイプされて身体を切られたナイフで相手を殺した過去があったり
など、ダークな面も。番組内容もゴキブリを食べさせるのはまだぎりぎり受け止められたけど、
鞘花がアイドルに硫酸入りのカレーを食べさせて身体をぼろぼろにして声を出せなくさせたり、
高い場所から水の無いプールに落としたりしたのは怖かったなぁ・・・。特にプール、地面に
叩きつけられた時のぐしゃっという効果音や、官兵衛の静かな状況説明の演技に恐怖を覚えた。
でも一番怖かったのはラストシーン。YouTubeのコメントの解説でわかったのだけど、すべては
愛弓の「レイプした相手への正当防衛が認めてられていたら」という妄想で、実際は殺人の罪で
逮捕されて終わる。ただただ自分が傷を受けただけだった・・・という・・・悲しいな・・・。
3週目の企画で、愛弓が傷も含めて自分だと自身の存在を肯定していたけど、現実でも誰かに
肯定して欲しかったのだろうな。でも実際は非情な未来が待っていただけ・・・つらい・・・。
かつて父の収賄容疑でアイドル生命が終わり、官兵衛からも傷物として見放された鞘花が言った
「傷のある人間は、傷のある人間はね、アイドルになれないのよ!」も印象的だったけど、
これも妄想に逃げながらも愛弓が消しきれなかった呪いだったのかと思うとせつない・・・。
僕はアンハッピーエンドはかなり苦手なのだけど、これはすごく良い脚本で好きだなと思った。
あと良いなぁと思ったのが、打ち合わせのシーンで企画の内容や演出の説明をしながら徐々に
ボルテージが上がっていき、そのまま流れるように本番のシーンに移る演出。カッコ良かった。
もちろん演者さんの狂気的な演技も、一切噛まない畳みかけるようなセリフも素晴らしかった。
コメントにもあるけど、4人だけで、道具などを使わなくてもこれだけ魅せられるってすごい!
以上、面白かったです。演劇感想は年4回書いてきましたが、今回でおしまいです。舞台演劇は
まったく観た事が無かったけど、思っていた以上に良かったな。機会があったらまた観たい。
新型コロナウイルスで大変な状況だけど、上手く乗り切っていけますように。それではまた。