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主に読み返した不死鳥作品や作った料理、他に小説や漫画や同人誌などの感想ブログ。

深夜特急

【Web小説感想】2024年5月31日 魚眠洞とナナミ 8話

こんばんはRM307です。今月も不死鳥先生の過去作品、「魚眠洞とナナミ」の感想の続き。
今回は8話「魚眠洞と深夜特急のエレメンタルブラスト」。今回も12年ぶりの再読で、ついに最終話!

序文1の感想https://rm307.blog.jp/archives/87732559.html
序文2の感想https://rm307.blog.jp/archives/87820910.html
1話の感想https://rm307.blog.jp/archives/87927829.html
2話の感想https://rm307.blog.jp/archives/88020353.html
4話の感想https://rm307.blog.jp/archives/88216879.html
5話の感想https://rm307.blog.jp/archives/88307873.html
6話の感想https://rm307.blog.jp/archives/88417892.html
7話の感想https://rm307.blog.jp/archives/88516218.html

【あらすじ】
大学の論文紹介へ出発する直前、またしても突然深夜特急が現れ、魚眠洞を強引に性風俗店へ連れて行ってしまう。
魚眠洞が童貞を喪失すれば自分が消えてしまう、魚眠洞と別れてしまうとショックを受けるナナミだったが、主は抵抗もせず成り行きに任せる。
店内では風俗嬢の森見桜子と出逢う。深夜特急から魚眠洞の人となりを聞かされていたようで、昔のつらい思い出と彼女の京大卒の肩書が彼の学歴コンプレックスと古傷を刺激し、魚眠洞の言動はエスカレートする。
しかしそんな彼を見捨てず、桜子は友だちになろうと申し出る。
結局彼女に触れなかった魚眠洞。だけど、だから、ナナミは消えなかった。

サブタイトルの元ネタは、ポケモンカードゲームのルギアの技名。

昔ねとらじでも仰っていたけど、不死鳥先生は子どもの頃にポケモンカードがお好きでかなり集めていらっしゃったらしい。ただ店名に選ばれた理由はわからなかった。

僕も卒業制作でクラスを代表し全校生徒の前で発表した経験はあるけど、あくまで内容はプレゼンだったし、論文を書き紹介しないといけないだなんて大学生は大変だ・・・。
魚眠洞は青いマフラーを巻いている。不死鳥先生の服装がミナセの元ネタなのか、ミナセが先なのか。
また深夜特急は対になる存在、イザヤが思い浮かぶ。

そして性風俗店へ連行される魚眠洞。そうか、現実の女性と身体を重ねた時、あるいはココロが移った時、ナナミは消えてしまうのか・・・。
でも深夜特急や魚眠洞にとって、脳内彼女にうつつを抜かす今の状況は不健全だと理解している。そして悲しいけど、ナナミも認識している・・・。
しかしそれにしたって、深夜特急への魚眠洞の返答には抵抗を覚えた。
いじめるとか可愛いからとかじゃないだろ!!!いつもそばで献身的に支えてくれた、大切な存在を傷つけるなと叱れ!!!脳内彼女だからって無下にするな!!!

ただ不憫だけど、涙目で大暴れする彼女の様子にはきゅんとした。もしも魚眠洞のそばにいられないなら、僕の元へきて欲しい・・・!!!僕は一生女性と無縁な日々を送るだろうから安心して!w
なんて冗談めかしたけど、何より君が大好きだからね!何十枚FAを描いたと思っているんだ!

魚眠洞の「うおぉ……ブラジャーだぞ深夜。パンティーだぞ深夜」は面白かった。不死鳥先生もなさりそうな反応w
プレイルームに飾られたリトグラフの柚原は誰か覚えていなかったけど、検索したら「イエスタデイをうたって」の陸生の元カノか!どんなキャラでどんなエピソードだったっけ~?!読み返さないと考察は難しいな・・・。

風俗嬢の桜子の髪色はオレンジ。深夜特急のマフラーであり、「絶対加速クレッシェンドQ」で魔界が廃止された後に現世へ渡ったちーちゃんもオレンジ色に染めたらしいけど、不死鳥先生にとって何か意味を持つカラーなのかな。
姓の森見は不死鳥先生のお好きな作家の森見登美彦さんが由来だろう。後に「Q」でもモミジの姓として登場するのでお気に入りだったのかな。
それと桜子の「一度全てを得た後、次の瞬間全てを失った」は、「不死鳥の短編集」3話の高校三年生のエピソードを指していると思う。

魚眠洞に本当の友だちができた時に消える深夜特急。不死鳥先生は現在どうだろうか。
魚眠洞の中二病を煮詰めた存在である彼は、やはり高校時代からの付き合いか。魚眠洞は「アイツが俺を変えてくれると信じた事もあった。でもやっぱ自分で変わらなきゃ駄目なんだ」と言う。
7話でナナミが「役に立つ日が来るかもしれない。だから生かす」と言っていたけど、これは魚眠洞の思考の残滓で、8話時点では一人で立とうとしているようだ。思えば深夜特急には距離を取り、のらりくらりと躱している印象もある。
脳内で生み出した自分の分身である彼女や友人であってもココロに立ち入らせない、彼の孤独が表れているような気がして、また僕も親しい人間関係を築けないので共感も覚えた。
「ですね。自分の頭の中だけで満足しちゃって、何の他者の侵入も無い。
 だから成長が無いっていうのかな。誰も俺なんか相手にしてくれないんだ」
「今は何の取り柄も無くて誰の興味も引かないの」
魚眠洞と桜子のセリフは僕にも当てはまった。初めて読んだ当時はまだ生徒でクラスに友人が多く、深く気に留めなかったけど、現在では見事に魚眠洞と重なる状況に・・・。
とはいえ魅力の塊である不死鳥先生とは異なり、僕の場合は本当に何も持たない人間なのだけど。
また自分だけで満足してはおらず、他者を、特に好きな存在を求める気持ちも抱いたりしているけど、興味を引いたり喜ばれたりする人間でも決して無く、相手に働きかけられない。
不死鳥先生は現在、理解者を得て満ち足りた日々を送れていると良いな・・・。

あと桜子が「誰かの面影を映して作った女の子、男の子」と言ったけど、ふたりは現実のどなたがモデルになっているのだろう?気になる!
それと魚眠洞の「空想旅団」は、検索したところDo As Infinityの同名の楽曲が元ネタだろうか。あるいは「HUNTER×HUNTER」の幻影旅団をもじっていたり・・・?

終盤では深夜特急やナナミや桜子への怒りが沸き、思いの丈をぶちまける魚眠洞。以前は感謝を述べ救いだと思うくらい救われていたナナミに対しても、「虚構の女。何の体臭も無い。その言葉は嘘だらけ。」と強い言葉で否定し、せつなくなってしまった。
矜持と拒絶と信条と。でも意味は恐らくわかると思うのだけど、ラストにかけフックを感じられず、つるっと読んだだけで正直楽しめなかった。僕の理解力の乏しさゆえだろうけど・・・。
依存を絶とう、一人で立とうとする魚眠洞、だけど彼女への未練も覗くようで、良いラストなのだろう。けれどやっぱり、ナナミとの物語を読みたかったなぁ・・・。どうしても最後にないがしろにされてしまったようで寂しかった。

その後魚眠洞は、桜子との関係が進展したのだろうか。そして深夜特急、ナナミのその後は。もし続きが書かれたら、どのような物語と結末になっていたのだろう・・・興味は尽きない。
現在の不死鳥先生が書かれたら、内容や雰囲気がかけ離れた別作品となってしまうのだろう。当時の不死鳥先生、魚眠洞に書いてもらいたかった・・・。
と言いつつ何だかんだで今からでも知りたいので、いつかお帰りくださったらぜひお教えください!!!よろしくお願いいたします!!!

以上、昨年8月から感想を書いてきた今作も今回で終了!ナナミが可愛くいじらしく、会話が愉快でせつなくて、記憶以上に楽しめる、予想以上に感想が生まれる面白い作品でした。
毎回書いているけど、やっぱり不死鳥作品は素晴らしい!再読でき良かった!それではまた。

Web拍手

【Web小説感想】2024年4月29日 魚眠洞とナナミ 7話

はいこんばんはRM307です。今月も不死鳥先生の過去作品、「魚眠洞とナナミ」の感想の続き。
今回は7話「魚眠洞とナナミのインフルエンザ」。6話まではたまに読み返していたけど、深夜特急の辛辣さや悲しむナナミがせつなく7話以降を避けていたので、実は12年ぶりの再読かも?

序文1の感想https://rm307.blog.jp/archives/87732559.html
序文2の感想https://rm307.blog.jp/archives/87820910.html
1話の感想https://rm307.blog.jp/archives/87927829.html
2話の感想https://rm307.blog.jp/archives/88020353.html
4話の感想https://rm307.blog.jp/archives/88216879.html
5話の感想https://rm307.blog.jp/archives/88307873.html
6話の感想https://rm307.blog.jp/archives/88417892.html

【あらすじ】
インフルエンザに罹患した魚眠洞は、タミフルの服用もあり実家へ帰省する。ナナミは魚眠洞の母に存在を認識されず悲しみつつも、彼に寄り添い暖かく看病を行う。
しかしそこへ、封じられていたはずの魚眠洞の魂の一部である深夜特急が現れる。
彼はナナミを否定し、魚眠洞を駄目にする根源だと唾棄する。自身から生まれた存在と言葉でもある為、魚眠洞は彼女を慰められない、何もできない。
だけど苦痛に顔を歪めながらも、嗚咽を漏らしながらも、ナナミは魚眠洞の為に、魚眠洞の幸せの為に立ち上がる。
そしてその間も、その後も、涙は流れ続ける。

看護師なナナミが可愛い!僕も2012年にFAを描いたけど、ぜんぜん魅力を表現できていないw
fa20120506
いつか機会があればリベンジしたいなぁ。可能なら漫画化したいのだけど・・・。
でも魚眠洞はナースコスに食指が動かないだなんて、もったいないぞ!!!僕なら写真と動画に収めまくりたい!!!
でも首を斜めにし、その行為に触れたナナミには魚眠洞も興奮を覚えた・・・かと思いきや、熱が上がった気がした理由は煮えたぎる怒りや焦燥に類する感情だろうか。

魚眠洞と同じく、ひどい人間性の僕なんかの血を引くと子どもが不憫なので、中学生の時に絶対に子孫は残さないと決めた。
また作るよりもすでに生まれてきて保護者の居ない孤児を救いたい、養子に迎えたいと考えていたので。
まぁ結局子どもどころか結婚もできず、恋人関係すら築けない残念な大人になったので、まったく心配は要らなかったのだけど・・・w

ネガティヴに陥る魚眠洞の隣で、三つ指をつき魚眠洞のお母さんにあいさつをし、無視をされ号泣するナナミも愛おしい!w可哀そうだけど、淡々とした「ナナミは魚眠洞に抱きついて数十リットルの涙を撒き散らした。」の一文は面白く、不死鳥先生の文章の好きなシュールさw
あとは「まあ、そういうアレなのだろう。」のようにぼかした表現も不死鳥先生らしくて良いなぁ。

涙を振りまきながら健気な様子もキュートで、頬を紅潮させながら「あーん」をしてあげようとする様子も最高!!!大好き!!!羨ましい!!!
再読する前から、よくアニメなどで想い人から看病される描写を観ては妄想をふくらませており、ちょうど今朝も考えていたのでタイムリーだったw憧れるシチュエーション・・・。

しかし宿敵の深夜特急が登場。魚眠洞以前の不死鳥先生のハンドルネームだけど、性質は異なる。
ナナミにショックを与える言葉の凶器は鋭く、僕も消えて欲しいと恨んでしまった。
けれど序文2で「ナナミ、お前に付き合ってるばっかりじゃ俺は駄目になっちまう気がするんだ……」と書かれていたように、魚眠洞もちゃんと自覚していたし、それは当然ナナミにも伝わっている。せつない・・・。
当時彼女の大ファンだった身としては堪え、冒頭でも触れたように、読み返せなかった原因でもあった。

自分の分身からの慰めを受け、ずぶずぶと居心地の良い沼に浸り続ける堕落への危機感。
かつ恋人、理解者、いつだって隣に居てくれる、暖かく包み込んでくれる、すべてを肯定してくれる存在。魚眠洞が求めた愛は、だけど他者でないと無意味、空虚だった。たぶん。
13年前にはつばき先生が「不死鳥先生は現実で頑張っていらっしゃると思うけど、他者からの承認が欲しいんですね」(うろ覚え)と仰っていたけど、やっぱり現実や他者の力は大きい。

自愛やアドラー的な考え方では自分で自分を愛する、満たす、他者に求めない、期待しない姿勢が必要だと説かれるけど、やっぱり他者から受け入れてもらえる幸せは何物にも勝る。たった一人で構わない、相手から慈しまれたい、大切に扱われたいと思う。
まぁ僕の場合は幼い欲求かもしれないけど、不死鳥先生の場合は自分を甘やかしたくない立派な意志を感じる。尊敬!

また他作品では心身ともに強い彼女が、たやすく倒される描写も悲しかった。実際は深夜特急を軽くひねるくらい圧倒的な能力を有しているんだぞ!!!と熱弁したくなる。
それでも、倒されても否定されても下を向かずに立ち上がる、やっぱりどの作品のナナミも素敵だ!!!
ラストの慟哭もつらいけど、いじらしい・・・これほどの苦しみを知ったからこそ、彼女が救われたり役目を果たして消えたりする幸せな結末までを読みたかったなぁ・・・不死鳥先生め・・・!!!

それとナナミの「作家says社会性」には元ネタがあるのだろうか。調べても見つけられなかった。
深夜特急の「やっぱ花の孤男だ!害悪細菌孤男だ!」はリズムが良く、12年前に朗読ねとらじを行った際は読んでいて楽しかった覚えがある。
他にも、「天空の城ラピュタ」の「君をのせて」の歌詞になぞらえたセリフも好き。

深夜特急の「お嬢さん」に対するナナミの「名前で呼んでって言ってるでしょ!」も気になった。勝手に名前で呼ばないでと怒るヒロインは多いけど、逆は珍しく面白い。
絶対加速クレッシェンドQ」四話のちーちゃんや「雲林院水徒シリーズ」でも見られたように、不死鳥キャラが存在理由や存在価値を自身の名前と結びつけているから、とか・・・?
考察が足りていないけど、これまで気に留めていなかった記述で、考えられて楽しかった。

今作の内容は忘れていたけど、深夜特急は登場だけで「これは不死鳥先生の内部の中二成分を煮詰めた存在だな」と気づけたので、これまで読み重ねてきた甲斐があったかも?
だけどナナミのセリフは「魚眠洞の役に立つ日が来るかもしれない。だから生かす」、「唯一の武器」で、中二病を必要とするかのようで引っかかった。
前作の「農ネーム」ではすでに利他主義や「中二病は人を殺す」というフレーズが登場し、後の「Q」では「中二病からの脱却」がテーマなので、間に位置する今作の思考としてはふしぎな感じ。
不死鳥先生の中で揺らいでいたのか、あるいはナナミだけが持つ独立した意思だったのか・・・?

以上、今回もまともな結論を出せず感想自体も拙いですが、再読でき良かったです。それではまた。

Web拍手

【Web小説感想】2024年3月31日 魚眠洞とナナミ 6話

はいこんばんはRM307です。今月も不死鳥先生の過去作品、「魚眠洞とナナミ」の感想の続き。
今回は6話「魚眠洞とナナミのTOEIC」。思わず笑ってしまうコミカルな回で、昔から好きだった。

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序文2の感想https://rm307.blog.jp/archives/87820910.html
1話の感想https://rm307.blog.jp/archives/87927829.html
2話の感想https://rm307.blog.jp/archives/88020353.html
4話の感想https://rm307.blog.jp/archives/88216879.html
5話の感想https://rm307.blog.jp/archives/88307873.html

【あらすじ】
TOEICの試験当日を迎えた魚眠洞。会場に応援団の姿で現れ、エールを送るナナミに安心感、つながりを覚える。
苦戦するが、試験を、人生を投げる訳にはいかない。もう一度Mの元へ還る為にも。
最終的に時間は足りなかったが、どこか吹っ切れた表情の魚眠洞は、今日も暖かく迎えてくれたナナミと笑顔に救われた。

魚眠洞の「日々の積み重ねが死ぬまで続いていくだけ」はたしかに。ネガポジどちらの意味合いでも、事実としてそうなのだ。僕自身の人生の場合も何の希望も存在せず、淡々と死ぬまで生を送るだけ。
ナナミのように、振り向いたら笑ってくれている大好きな相手が身近に居て欲しい・・・。
雪を見てココロが暖かくなる描写も好き。些細な美しさに励まされる時ってあるよね。

試験会場は岡山商科大学。もしも腕時計のアラームが鳴ったら、急いでボタンを押しまくり解除なさるおつもりだったのかなw綱渡りを選ぶ性格が何だか不死鳥先生らしい。
そして応援団スタイルで現れたナナミ!wエールがめっちゃ可愛い~!!!長ランとはちまき姿も見たかったな~!!!
2012年10月につばき先生を応援したくて自ら描いたけど、比較にならないほど愛らしかっただろう・・・!
学ランナナミ
本当に、つながりを感じられる、想い合える相手って素敵だなぁ・・・羨ましいなぁ・・・。
口づけも!!!僕も優しい相手と、ふたりのようにそっと交わしたい!!!
でもその後、なぜか不死鳥先生がお好きな「おおきく振りかぶって」の田島への応援に変わり面白かったw

「あの時」や、怠惰で荒廃した投げた後の人生は「不死鳥の短編集」3話で描かれた、ココロがグチャグチャな状態で過ごした高校三年生の一年かな。
勉強にも読書にも打ち込めず、第一志望の京都大学への進学も諦めざるを得なかった。僕にとっては、岡山大学だって十分すぎるほどご立派な環境だと思うけど。

頬杖をつくナナミ、まじめなトーンで下世話な失敗について語るふたり、焦りから関西弁になる魚眠洞、応援を断られショックを受けるナナミのギャグシーンも良かったw
そういえば2012年5月に行った朗読ねとらじで、「オナニー」、「クンニリングス」、「おっぱい」、「抜ける」の読み上げでものすごく照れてしまい、たどたどしくなり恥ずかしかった思い出w
事前にしっかりと覚悟を決め臨んだものの、以前新ブログでも書いたように下ネタも名称も口にした経験が無かったので、かなり意識し緊張し口ごもってしまった・・・w
以降も一度も発していない単語なので、今でも上手く言えないかもしれない・・・w

「見んで良い見んで良い」ときゃらきゃら笑う、「今のお気持ちは、どうですか?」とマイクを向けるおどけたナナミにも癒やされる。
もしかしたら以前の魚眠洞なら3話のように怒りを覚えていたのかもしれないけど、彼が言うようにもう変わったのかもしれない。ナナミのおかげで。
「すっごい美味しいね!」と目を丸くしてくれる描写も、何でもない一場面なのに胸を打つ。日々暖かく寄り添ってくれる彼女が本当に愛おしかっただろうなぁと思う。

現在は不死鳥先生の元を去ってしまったけど、その代わりに今度は実在する伴侶が救いとなっていますようにと、真剣に願わずにはいられない。
僕は恐らくずっと孤独なので、不死鳥先生には僕の分まで幸せになってもらいたいな。

以上、物語としては3話に最も惹かれるけど、明るい話では一番好きな良回かも。
楽しかったです!何回も書いているけど、こんな日常をいつまでも読みたかった・・・それではまた。

Web拍手

【Web小説感想】2024年2月27日 魚眠洞とナナミ 5話

はいこんばんはRM307です。今月も不死鳥先生の過去作品、「魚眠洞とナナミ」の感想の続き。
今回は5話「魚眠洞とナナミの古市」。タイトルに古本市場w4話に続きまったりとした日常回。

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1話の感想https://rm307.blog.jp/archives/87927829.html
2話の感想https://rm307.blog.jp/archives/88020353.html
4話の感想https://rm307.blog.jp/archives/88216879.html

【あらすじ】
お年玉クーポンをもらい、自転車で風を切り古本市場へ赴く魚眠洞ナナミ
幼い言動に呆れつつ、それでも大好きな魚眠洞と過ごす幸せな時間を喜ぶナナミ、そんな彼女との休日を享受する魚眠洞。
しかし夏休みは、いつかは終わる。

自転車で二人乗りをする青春感あふれる導入。羨ましい!
ナナミが食べている「フィッシュ&ポテト」は何だろう?検索してもドッグフードしかヒットしなかったw
僕の地元には古本市場が存在しなかったので、いつか聖地巡礼してみたい憧れのお店となっている。
彼女ができてもデートで古市へ行くと答える魚眠洞。不死鳥先生は実際はどうだったのかなw
脳天気な「学んでいこう。そういう事を。興味の幅を、広げよう」ものんびりとして好きなテンポで、昔行った朗読ねとらじでも読んでいて楽しかったセリフ。「因果よのう」の言い回しも同様に。

「総理大臣ラーメン」や「1億両ラーメン」も謎で、検索してもわからない。2話の国章咋神社と同じく、作中のみに存在する名称なのかな。好きな響きなので、命名の元ネタも知りたい!
店員さんにナナミも注文するけど、もちろん聞こえずスルーされ、慣れっことはいえ寂しい表情をしたのかもしれないと思いせつない。

他者と比べて能力値がかなり突出した不死鳥先生だけど、魚眠洞は人間は総合評価だと語る。
僕は自分が凡人だからか、不死鳥先生のように極端だったり天才だったりする人物に惹かれる。
ご本人は大衆から理解や支持を得られなかったり、生きづらかったりして大変かとは思うけど。

絶クレQ」や「ボーン・トゥ・ビー・ワイルド」などでは、リア充と野生についてたびたび描かれていたけど、魚眠洞の「ただの動物になってしまいたい」はよりプリミティヴな印象。ここから後に育っていった考え方なのかな。
僕も好きな相手と切磋琢磨できず、魚眠洞と同じく「ただ萌える」だけかもしれない。相手よりも程度が低く、長所も大した意見も持ち合わせておらず、良い影響を与えられず、「そんなところが可愛い」や「そんなところが好き」なんて伝えるしかできそうにない。
飼い主に愛情を向ける飼い犬のような、僕も動物に相応しいと思う。いや動物に失礼か。

食べ終わり「ごちそうさまでした」と目を瞑り両手を合わせるナナミは可愛い!「ねッねッ。魚眠洞。幸せだよね。うちら」も好き!
一方の魚眠洞は「まァ、パクリなのであろう」と辛辣な言動がひどいw
でも、和気あいあいと語り合うふたりは幸せそうで愛おしかった。

最後にナナミが口ずさんだ歌はくるりの「Superstar」の一節だけど、「ちぎれて」が抜けていた。

魚眠洞の「こうこれからは、一人ではいれないんだ」の「こう」も、「そう」の誤字だろうか。
引用のように思えて、こちらも原典がわからなったのではっきりとはしない。気になる。
「一人では」に「二人では」と提案するナナミ。脳内彼女に慰められながら生きる今のままでは駄目だと、魚眠洞は受け取ったのだろうか。
暖かい陽気だけど、未だ冬は続くのだと思い起こさせるかのような冷たい風を感じる、少し物悲しいラストだった。

以上、前話に続き大きく物語が動く内容では無くとも、結構感想が生まれ面白かったです。
やっぱり不死鳥作品は良いな。いつまでもそんな日々に触れていたかった・・・。それではまた。

Web拍手

【Web小説感想】2024年1月31日 魚眠洞とナナミ 4話

はいこんばんはRM307です。今月も不死鳥先生の過去作品、「魚眠洞とナナミ」の感想の続き。
今回は4話「魚眠洞とナナミの自己啓発」。3話から一点、コミカルな日常回。

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1話の感想https://rm307.blog.jp/archives/87927829.html
2話の感想https://rm307.blog.jp/archives/88020353.html

【あらすじ】
自己啓発本を購入した魚眠洞は、ナナミに追求されたり我慢を覚えた子ども扱いをされたり。
それでも支える彼女は、脳にとって良い事を、魚眠洞にとって良い事を常に考えてくれている。

冒頭のナナミの歌は、THE BACK HORNの楽曲「シアター」の一節。2012年5月に行った朗読ねとらじでも歌ったのだけど、事前に練習したものの本番ではメロディを見失い、かなりの音痴となってしまい恥ずかしかった思い出w
ずっと昔から不安定な中東の事情。この作品から15年経った現在でも戦乱が続く。「起こらないっぽい」とナナミの言う第三次世界大戦も、もしかしたら序章の段階なのかもしれない。
そして「まぁ来ないだろうな」、「儲からないもんね戦争」は、日本は戦地にならないだろうとの予想だろうか。
当時はまだ楽観視できたのかもしれないけど、現在は中国が台湾へ侵略の手を伸ばし、日本も有事への懸念が高まる。僕はあまり政治的な発言をしないけど、非常に憂慮している。
長くは続かない自分の命はそれほど重視していないけど、残された家族や大好きな人々と子どもたちは絶対に苦しまず、明るい未来を生きてもらいたいので。平和と幸福を真剣に願っています。

魚眠洞が購入した「脳にいいことだけをやりなさい」は当時のベストセラーで、僕も不死鳥先生に影響を受け2012年の夏に読んだような・・・内容はまったく覚えていないので、別の本だったかな。
しかしナナミは翻訳した茂木氏をペテン、詐欺師だと酷評し、今考えると看破していたのかなと思うw
魚眠洞の「俺、九州工業大学だし……」の意味はわからなかった。ジョークだとは思うけど、この本か著者と何か関連があるのだろうか?検索してもヒットしなかった。

「幼児退行は全体的に進むものではない」はなるほどたしかに!僕も局所的に進行しており、現在はかなりの幼い考え方や振る舞いの、ものすごく退行した駄目人間と化している。ネット上ではなるべく見せないようにしているけど、もし知られたら本当に嫌われるだろう・・・。
不死鳥先生はきっと、ご自身を戒め頑張っていらっしゃるのだろうなぁ・・・。

ダンスを踊る、「だったよォ~?」、「踊る赤ちゃん人間」を歌いベッドへダイブ、無視され半泣きになる、首を斜めに傾けるナナミは可愛かった!
そして腰を回す運動と汗を拭う仕草!劣情を誘うんだって!!!めちゃくちゃ見たい~!!!僕の画力では厳しいので、先日18禁漫画を描かれた大好きな作者さんに作画してもらいたい~!w
「ねッねッ!それを摂取してたら色んな勉強できるよね!」と嬉しそうな様子にも癒やされた。本当に魚眠洞が大好きで、彼の幸せと救いを一番に考えているのだなぁ・・・健気だ・・・。

読んだ作品や自己啓発本、学んだ考えや生き方、そしてご自身が描かれたキャラクターや会話。
不死鳥先生もラストのふたりのように、「こんな物に必死に縋った季節もあったか」、「必死な時の自分を責めるのもなんか違うよね」なんて肯定的に思い返したりなさるだろうか。
黒歴史だったと封印したり、不要だったと否定したりなさっていないと良いな・・・と思う。
もしもそうでも僕は不死鳥先生の作品が好きで、今でも気持ちは変わらない。

以上、作中にも書かれているように特にヤマナシオチナシだったけど、思いの外楽しめました。
ただコミカライズする時はちょっと悩ましいかもwナナミのえっちな描写も!wそれではまた。

Web拍手

【Web小説感想】2023年12月31日 魚眠洞とナナミ 3話

はいこんばんはRM307です。今月も不死鳥先生の過去作品、「魚眠洞とナナミ」の感想の続き。
今回は3話「魚眠洞とナナミの羅刹」。サブタイトルは文字通り、彼の中の鬼を指すのか。

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序文2の感想https://rm307.blog.jp/archives/87820910.html
1話の感想https://rm307.blog.jp/archives/87927829.html
2話の感想https://rm307.blog.jp/archives/88020353.html

【あらすじ】
思うように勉強に取り組めず気が立つ魚眠洞は、気遣うナナミの些細な言葉尻を捕らえ、激昂し彼女の肌に爪を立てる。
加虐心に飲み込まれそうになり彼女を消しても構わないと考えるが、それでも魚眠洞とともにありたいと叫ぶナナミ。魚眠洞の怒りはぎりぎりで途切れる。
しかし彼女は自分が生み出した存在で。自分は他人とは異なるような人種で。
それでもナナミの笑顔と存在は、未来を照らしてくれるように感じた。

ままならぬ人生、他者では無く自身の一部である脳内彼女。恐らく不死鳥先生が過去に経験された悩み、苦しみ。そしてご病気も孤独も知っていたので、当時かなり胸を打たれた。
少し冷めたけど飲み心地が良くなった紅茶も、人生に対する向き合い方や捉え方、あるいはそう思い込みたい願望が表れたりしていたのかな・・・。

そして珍しくナナミ視点の地の文も描写される。
生物にも電気信号にも満たない、Mさんと同じ感情を向けられない、決して魚眠洞の彼女たり得ない自分。
魚眠洞が己の行いを忘れ、衣服の乱れや肌の無事を目にした際もどう感じたのだろう。錯覚とあるけどナナミの記憶からも失われたのだろうか。あるいは魚眠洞が失念してもナナミ側には残るのだろうか。
後者だと自立なのであり得そうにないけど、そんな未来も見てみたいかも。
虐げられ可哀そうだけど、他作品とは異なり怯えたりいじらしかったりする様子も、そして魚眠洞の為を一心に考え、想いを一生懸命伝える様子も愛おしかった。

ナナミの「逃げるのも時には勇気だけど投げちゃ駄目だ」は好きなセリフ。そうだよなぁ。
僕も創作や学校や仕事から逃げてばかりの最低な人間だけど、今のところ人生を投げ出していない点は認めてあげても良いかな。評定が甘いと笑われるだろうけど。
でも他者の場合は全力で肯定し褒める。逃げても構わない、投げ出さなければ、生きていてくれればそれだけでとても嬉しい。

ナナミの語る歪なプライドや、自分への評価に過敏に反応してしまう魚眠洞にも共感した。
魚眠洞の「いくらでも消しても良いんだ」は自キャラへの否定では無く自己否定で、こんな自分の性格が本当に嫌だと強い憎悪が表れていたように思う。
物語世界で動くキャラクターを俯瞰し、思い通りに操る創造主である作者のように、ご自身の性格や考え方も自由に変えたかったのかな・・・。

「人間って一個の生物じゃねーだろ」もたしかになぁ。でもその伝だと、ナナミも魚眠洞を構成する要素の一つ、ふたりで一人の生物にはならないのだろうか?
あと「人間の正体はタンパク質じゃなくて脳内の電気信号」は、後に「絶対加速クレッシェンドQ」第五話でテレ子のセリフとして登場する。こちらも当時の実感だったのかな。
また「投げちゃ駄目だ。投げちゃ駄目だ。投げちゃ駄目だ」は、後に不死鳥先生がブログで書かれたSS(「Q」第九話20ページのプロット)で、チヨジのセリフとして登場する。


ラストの「真昼なのにカーテン閉めてる。そんな人種。自分達は。」の一文と、自然光を背に愛らしく微笑むナナミも本当にぐっとくる印象的なシーン。

ちなみに2017年にラストシーンのFAを描いたのだけど、表情が不正確だとずっと心残りだったので、今回感想を書くにあたり描き直した。
fa20231231

もちろん原作の、ナナミの魅力をまだまだ再現できてはいないけど、良い機会を得られて感謝を。

とてもせつなく、だけど希望の光も見出す。上記のツイートにも書いたけど、個人的には最終話に相応しい話だと思う。新都社で描いたコミカライズでも、もしも続くなら最後に入れ替えたいと想定していた。
不死鳥先生も現在、大切な存在と幸せな光の下にいらっしゃると良いな。もちろん不在でも暗い穴の中でも、お元気でいてくださったらそれだけで何より。
でもナナミが「自分で決めたに違いないし、君はきっとそうするだろうな」と言ったように、きっと不死鳥先生も決意し行動に移されている気がする。

自身が消える未来を示唆するナナミも、今でも不死鳥先生の中に居てくれると良いなと切に願う。見えずとも必要とせずとも、消滅せずに生き続けていますように・・・。
そして僕も会ってみたい。直接は難しいと思うので、作品としてでも。大好きな君の活躍をまた見たいよ。

以上、久しぶりに読み返しましたが良かったです。今年の再読も楽しかった!それではまた。

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RM307

新都社でFAや漫画を描いたり読んだりしています。
このブログでは読んだ作品、作った料理の感想を掲載しています。
2016~2021年は毎週更新、2022年以降は基本的には月2回更新です。
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